気高い騎士 ページ31
外交使節団の本部は、軍の中でも一番幹部棟から遠い。決して軽くはない資料を手にしてやけに静かな廊下を歩く。
カツン、カツンと自分の足音が響き渡る。
気付けばもう外交部の部屋の前。
いつもは人で賑わう場所なのにも関わらず、金属がぶつかる音と生臭い臭いがする。すごく…嫌な予感がした。掌に汗が溜まったまま扉を開ける。
「っ！！」
高級な絨毯が、本棚が、机が、室内のもの全てが血で濡れていた。倒れている一般兵達の中に見知った顔が混じっていた。
「エーミールさん！！！」
彼はうつ伏せで倒れていた。すぐさま彼の息があるか確かめる。トクンと脈が触れた。息も小さいがある。しかし残念なことに彼は血こそ流れていないが頭を打ったのか意識を失っていた。
『ロボロさん！聞こえますか！？』
『あ、…も…き、…るか…』
『ロボロさん！？大変なんです！』
『…、ャック………とる』
『早く！エーミールさんがっ…！』
ツーｰｰｰｰｰッ
インカムはロボロさんの声ではなく、不愉快な電子音しか聞こえない。一体何が起こっているのか、理解ができない。
まだ、奥の部屋から金属音がしていた。恐怖で震える。この先で戦っている兵が、いる。私は震える体を無理矢理立たせて…部屋の奥へと進んだ。手には拳銃。これ以上の被害は出させない、と強く決意して進む。
「オスマン様…！早く逃げてください…！」
「あいつはもう意識を失っている。残るはお前だけだな。女騎士よ」
金属音の正体は、倒れるオスマンさんを守る一人の女性と燃えるような赤い髪を持つ男が互いに剣を合わせているからであった。赤い髪の男は、白と深緑の瞳のオッドアイ。チーノから報告を受けてた色とは違った。私はオスマンさんを護ように気高く戦う彼女が、オプロイテさんだと一瞬で理解する。
「オプロイテさん…！」
「！？」
「よそ見とは油断しすぎだ」
「グアッ…ッ！」
私の声によりオプロイテさんに油断を与えてしまった。男の剣がオプロイテさんの肩を斜めに斬った。
「オプロイテ、さん…！！」
「逃げなさいッ！そして早く、応援を…！」
「ほう。これでも死なないとは丈夫な女だ。容姿もいい。俺が
「っ！」
膝をつくオプロイテさんの首を掴んだ男。その顔は下劣な笑みを浮かべていた。もう許せなかった。私はガタガタと全身を震わせたまま、拳銃を向けた。
「お、オプロイテさんを離して…っ！」
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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