思い出すのは君の笑顔 ページ29
ケーニヒと名乗った男により正式に宣戦布告された我國。軍のネットワークに侵入されたことを危惧したロボロさんと大先生は先に会議室を後にし、対応に追われていた。ケーニヒの突然の配信により幹部の指揮もあがっており、立ち上がる。
「お前達、それぞれやることは分かっているな？」
当たり前と言わんばかりに胸を張る幹部達。
「劣勢だろうが関係ない。我々は必ず勝つぞ。ここまでやられて黙っていれるはずがないからな。…諸君、戦争の時間だ」
総統の言葉に幹部が湧く。
そして解散となった会議室。
「トントンさん」
「おん。行ってこい。あいつは医務室や」
「…ありがとうございます」
私は医務室に向かって駆け出した。
医務室では慌ただしく医療隊が働いていた。戦争が始まることにより事前に動き始めているのは、前線だけではなかったようだ。しんぺい神に案内されたのは、前に私やショッピさんが寝かされていたベッドではなく医務室の一番奥の隔離された個室。ガラス越しにたくさんの管を繋がれている彼を見て力が抜ける。
「…中に入る？」
そんな私を見かねてしんぺい神さんが彼の眠る部屋の扉を開けてくれた。私はお礼を言ってそっと彼に近寄る。
ピッ、ピッ、ピッと彼のベッドの横でなるモニターの音が生々しい。傷だらけではあるが、安らかに眠っているような彼を見て、なぜが涙が溢れた。ポロポロと重力に落ちて涙が落ちる。
「また今度なって言ったじゃん…」
彼の笑顔が脳裏に浮かぶ。今、意識不明の重症で生死を彷徨っているとしんぺい神さんが言っていた。ベッド上で横になっている彼の手をしっかりと握る。いつも私を守って、励まして、側にいてくれた人。
「ねえ、シャオロン」
返事はない。
「私ね、戦うよ。初めての戦争は、怖くて怖くて堪らないけど…みんなと戦う」
彼の手は温かい。それはまだ彼が生きている証拠。
「私も頑張るから、シャオロンも負けないで頑張って」
そう言った瞬間、私の握る手がピクリと動いた。目を丸くし彼を見るが、シャオロンは眠ったまま。寝ていても体の筋肉が反応して動くことはあると言うが、タイミングが良すぎる。いつも太陽のように笑うこの人のことだから、私の言葉を聞いて任せろと伝えたかったのかもしれない。そう思うと自然と笑みが溢れた。涙を拭いてもう一度彼へ向き合う。
「ありがとう。また来るね」
もう、泣かないよ。次に会う時は、シャオロンが言ってくれたように笑顔で来るから。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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