自由の為の選択肢 ページ14
「俺は兄さんって呼ばれとる。もしかしたらコネシマ達から聞いたかもしれんけど今は国を転々としとってな。」
「兄さんさん？は我國には帰らないんですか？」
「気軽に兄さんでええで。…我國か、」
彼は煙草に火をつける。ふぅと吐いた息が夜の空に消える。
「グルッペンは戦争が好きやろ？」
「好きっすね」
「違いないです」
「好きですね」
三人の声が揃い、目を伏せたまま笑う兄さん。
「…せやから俺が世界を渡り歩いとるんや。いつでもグルッペンが最高の戦争が出来る様に。俺の役割は舞台を整えることやからな。」
誰も言ってはいないが、彼が幹部であるという確信があった。総統に向ける彼の信頼が一般兵ではないことがその言葉で分かったからだ。ショッピさんとチーノもその言葉を聞いて嬉しそうに笑っている。
「兄さんは突然姿を消すからって言ってあんまり詳しい話聞いてなかったスけど今なら分かります。あんたも戦争好きなんですね」
否定も肯定もされないが彼の笑みが答えを物語っている。
「俺の話はここまでにして、あの子らどうにかせんとな」
兄さんの見つめる先には被験者達。私も思わず頷く。
「もしかしてと思って準備しとったけど正解やったな」
「準備ですか？」
「お前らが任務を成功させたら被験者助けるだろうと思って、商人仲間からトラック三台借りてきたで」
「本当ですか！ショッピさんこれであの人達を助けれますね！」
「こんな人数を我國に…。グルッペンさんに怒られへんかな…」
「怪我してる人たちを見捨てることなんてできません」
「ショッピくん、Aはこう見えて結構強情やで」
ショッピさんは迷っているようでイエスと言わない。兄さんは助け舟を出してくれるかと思いきや私たちの行末を傍観することに決めたようで口を出さず見守っている。
「ショッピさん。」
「なんや」
「コネシマさんがショッピさんを救ってくれた時のように私達には彼らを助けた責任を取るべきですよ。このままの状態で自由って、違うと思うんです。選択肢があってこその自由じゃないですか」
ショッピさんが真っ直ぐにこちらを見た。
「…自由」
「はい。ショッピさんはコネシマさんから自由を貰ったじゃないですか」
「自由…そうやな。あの人は確かに俺に選択肢を与えたわ。」
「なら…」
「おん。急いで準備や。被験者は全員我國で保護するで。兄さんもお願いします」
私とショッピさんと兄さんが笑う。チーノだけは分からないという様子で首を傾げていた。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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