敵か味方か ページ24
シャオロンと別れてしばらくすると資料を抱えたトントンさんと総統がが出てきた。
「トントンさん、総統お疲れ様です。」
「…Aか。お疲れ」
「ああ。珍しいな、何か俺たちに用か?」
「はい少しだけなんですけどトントンさん、今お時間いいですか?」
「トントンか。俺は外した方がいいか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「どないしたん?」
「一つ聞きたいことがありまして。私がトンつく隊の副隊長ってどうしてですか?」
「そのことか」
トントンさんと総統が目を合わせる。あまり聞いてはいけないことだったのだろうか。
「トントンが是非お前が欲しいと言っていたからな。総統として同じ隊に入れてやったんだ」
「えっ」
「その言い方やと語弊を生むやろ!Aも魔に受けんでええからな!」
「そ、そうですよね…びっくりしました」
「俺はお前達の関係をより良いものにしようとしただけなのに何も殴らなくたっていいだろ…」
総統が頰をさすりながら訴えるがトントンさんはそれをゴミでも見るかのような目で見ていた。総統に対してこのような扱いをするのは少し意外だ。
「お前がトンつく隊の副隊長なんは、まだ前線に立つには未熟やし、かと言って他の隊に回すにはお前の能力は勿体ないからや」
「なるほど…じゃあ、私はこれからトントンさんの元色々と頑張ればいいわけですね!」
「お、やる気は十分だな。」
「もちろんですよ!最初こそトントンさんめちゃくちゃ怖い人と思ってましたけど、今じゃ一番いい人だと思ってますもん」
「良かったなトントン」
トントンは無言だ。そっと彼の顔を覗き込めば、真顔。あまりの感情のなさに慌てていると総統がお腹を抱えて笑っていた。
「はっはっはっ。今日は面白いものを見せてもらった。A、これからも期待しているゾ。お前は文官にしては優秀だ。課題としては戦闘だな」
「戦闘…ですか」
「せめて自分を守れるようにならんと。今や誰が敵か、分からんのやからな」
フリーズしていたトントンさんだが意味深な台詞を言う。誰が敵か分からない。その言葉が胸に刺さった。
「あの、それって…」
「…いいか。良くも悪くもお前が来てから色々と動き出した。お前を疑う訳やないけど、気を付けろ」
トントンさんはそれだけ言い残し総統を連れて仕事へ戻った。私が来てから動き出したとは何のことだろう。
その時の私は彼の言葉にこれほどまで後悔するとは思ってもみなかったのだった。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…!最後までご愛読ありがとうございました! (2021年2月20日 16時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…!とても素敵な話でした! (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん!以前もコメントして下さいましたよね?本当ありがとうございます…!良かったら番外編でもよろしくお願いします…!最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました! (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます!貴方の作品に出会えて本当に良かったです! (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます!本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください!すごく励みになります…!今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します! (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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