消えたサファイア ページ13
「お疲れさん〜」
「お疲れ様」
放課後の生徒会室にて人が集まっていく中、グルッペンはとある人物がいないことに気付く。
「…Aはどうしたんだ？」
「ストラスブール国内の問題で帰国したわ」
グルッペンの問いに答えたのはオプロイテだ。Aとよく似た髪を乱れなく結んでおり、真面目に書類をまとめている。
「俺たちには何も言わずにか」
「急なことだったし、国内のことを他国に洩らすのは良くないでしょう。私も明日は休暇をもらうわね。しばらくの分の仕事はやっておいたから…これで失礼するわ」
仕事の早い彼女はもう用はないと言わんばかりに去っていく。愛嬌一つないその行動に残された者は疑問が浮かぶばかりだ。
「チーノは何か聞いとるん」
「…いや、何も聞いてないで」
「仮にもお前も公爵家なんやろ。情報いってないってことは大したことやないんか？」
鬱やシャオロンの言葉に対して、チーノの顔色は悪い。
「…チーノ、大丈夫？」
ひとらんが心配そうに彼を覗き込む。チーノは、ぐっと拳を握ると「嫌な予感がする」そう言って立ち上がった。
「嫌な予感とはなんだ。俺たちには話せないことか」
「…王国にはよくある話や。あんたらもよう分かると思うけど、うちの国は今、皇室派と反皇派で別れててな…。違うと思いたいんやけど…最悪な事態を考えると、Aは…」
「処刑されるというわけだな」
前世でAを断頭台送りにしたグルッペンもまた立ち上がる。
「俺らの手は、必要か？」
チーノは考える。これが気のせいかもしれない。娘を溺愛している王様がただ単に顔を見たくて呼び出した可能性だってある。しかし、気のせいだと片付けるには夢を見過ぎたのだ。あの日届かなかった自身の手を、今こそ届かせてみせる。
「お願いします！ ストラスブールへの案内は俺がします！」
生徒会室にいた彼らは誰一人笑わずに頷く。
「ストラスブールに潜入ともなると、あまり大人数ではよろしくないな」
「…チーノ合わせて四人が限界かな」
「俺はパスや。ストラスブールの姫君に対して何の思い入れもないし。ここで待っておく方がええやろ」
コネシマが頭に手を乗せて笑う。
「なら俺もパスするわぁ。腕っぷしが必要になった時、邪魔になる未来しか見えんし」
「確かに大先生はお荷物やもんな！」
「うっさいわ」
残る者たちは、Aに対し並々ならぬ感情を抱いている彼らだった。
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夏目宮(プロフ) - 失礼します。ストラスブールのことなのですが、皇室があるのなら王国ではなく「皇国」ではないでしょうか？ (2022年3月28日 19時) (
レス) @page13 id: c1f3a10c7f (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 森安里さん» コメントありがとうございます…！二度目の人生で見えてくる視野も広がり彼女自身が成長するところを実感していただき嬉しいです。素敵なコメント並びに応援のお言葉をありがとうございました…！のんびり更新ではありますが今後ともよろしくお願いします！ (2020年12月8日 16時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
森安里(プロフ) - 王女様のどんどん成長していく姿に目が離せません。恋愛や友情が詰まった素敵な作品だと思います。これからも頑張ってください。応援しています! (2020年12月5日 13時) (レス) id: 0d0cef0762 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - がいこうかんさん» 外交官さん…！コメントありがとうございます！文章が美しいなんて最高の褒め言葉をありがとうございます！ゆっくり更新ではありますが今後ともお付き合いしていただければ幸いです！本当にありがとうございました…！ (2020年11月20日 22時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ゼアさん» コメントありがとうございます…！面白いというその一言でやる気が出ます！割と長いお話を一気に読んでくださりありがとうございました…！今後とも完結までよろしくお願いします…！ (2020年11月20日 22時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
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