深紅の後悔 ページ13
戦場に身を挺してきた者として愛だの恋だの、下らない。そう思っていたのだ。
トントンはとある戦争により負傷した。一歩間違えば完全にお陀仏していたに間違いない事故にあったのだ。仕事をせねば、と思いながら安静をしんぺい神から言われ、やることがないトントンをオスマンがお茶会に誘った。
「トントンって世話焼きよなぁ」
トントンは突然そんなことを彼に言われた。
「別に自分ではそう思わんけどな」
「俺なんかよりよっぽどAの面倒見とるやん？」
「お前が全然面倒見らんからやろ…Aは手のかからんヤツやけど、軍人としてはまだまだや」
「俺は放任主義なんよ〜」
「度が過ぎとるんや。で、話はこれだけか？」
時間が惜しいとばかりにトントンが席を立とうとすればオスマンは口唇を引きゆがめ意味ありげな笑いを浮かべる。
「そんなトントンに朗報めう。Aな、恋を知らんらしいで。女の子なのに勿体ないよなぁ」
「知らんわ」
「トントンと同じやね」
相変わらず何を考えているか分からないこの男。翡翠の瞳を蛇のように細めて、赤い舌を出して笑う。
「恋をすると人はな、強くなるんよ」
彼が自分に何を伝えたいのか理解できず、茶の礼だけを伝えて、その場を後にする。やはり自分にはお茶会なんて似合わない。安静にしながらも出来る仕事はあるのだと、根っから社畜のトントンは仕事へと戻った。
そっと医務室から抜け出して書記長室の椅子に腰掛けようとすれば、珍しくもない訪問者がそこには居た。
「トントン、？」
訪問者は穏やかな、聞いていて馴染む声で自分の名前を紡いだ。トントンは痛む腹部を抑えながら、軽く片手をあげる。
「おん」
「トントン、医務室から抜け出しちゃって大丈夫なの？ひどい…怪我だったんでしょ？」
「死なんかっただけ安いわ」
「そ、そうじゃなくて…！」
彼女の言いたいことは焦りから伝わってきた。いつも朗らかに笑うこの女が、今は焦って目をかっ開いているのが可笑しくなってトントンは口元を緩めた。
資料を広げるトントンに相対するように彼女は近づいてくると、「ダメだよ」とその資料をひったくった。
「あ、こら」
「ダメ。私は認めてあげないよ。すぐにしんぺい神に連絡するからね」
「そんな安静にするようなことちゃうねんで…」
観念とばかりに手をあげる。
初めて見たAの怒る顔。きっと彼女と生活を始めたら無理ばかりする自分はこうやって怒られるのだろう。それも、悪くはなかった。
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鳩山(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます…！返事がとても遅くなって申し訳ないです…！ハッピーエンドにしたくって最後書くのを頑張りましたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年6月7日 23時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後までどうなるかわからなくてドキドキしました。ハッピーエンドが素敵すぎます…読ませていただきありがとうございます…。！これからも応援しています！ (2020年3月10日 9時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - カリンさん» コメントありがとうございます！頑張り屋な夢主をここまで見守ってくださって本当にありがとうございます…！素敵な物語と言って頂き大変幸せです…！これからも新作を投稿していく予定ではありますので今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月1日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 完結おめでとうございます！頑張る夢主がどういった結末を迎えるのかドキドキしながら最後まで読まさせていただきました。素敵な物語をありがとうございます！これからも応援しています！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: 84d76390cc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます！自分の書いてて楽しいお話を書かせて頂いてそのようなお言葉をいただけて私は本当に幸せ者です…。今後も新作は出していくつもりですので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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