番外編:ある男の独白 ページ48
自分がおかしいと気づいたのはいつだったか、と俺は思う。
昨日と同じ食堂のメニュー。
昨日と同じ部下や同期の会話。
そして昨日と同じ訓練。
明らかにおかしかった。
夢を見た。仲間が死ぬ夢を。
起きた時夢だと知ってどれだけ安心したことか。
俺は朝一番に夢の中で亡くなったシャオロンとAの顔を見に行く。二人ともロボロやゾムに茶化されながら幸せそうに笑っていた。
しかしそれもまた壊される。
夕景時シャオロンが爆発に巻き込まれて死んだ。
泣き喚くAを慰めてなんとか自室まで送り部屋で一人考えていれば大先生から緊急連絡が飛んできた。そして「Aちゃんが行方不明や」と恐ろしいぐらい夢の通りにその日が過ぎ去ったのだ。
何度も何度も自分がどんな行動をしても1月14日を二人が生き残ることはなかった。
もし、自分が二人を助けるためにタイムリープをしているのなら…何か出来るはずだと。
だから残らないと分かっていても日記に二人の行動を書き留める。自身の記憶に残るように、ひたすらに記した。後輩のショッピくんは何かに取り憑かれたように日記に事細かに書く俺を疑問に思ったようだが、さすがは俺の後輩だ。Aやシャオロンへ助言を行うことはしなかった。
何度も繰り返す内に気づいたことがあった。
それはAと幹部達の関係性だ。特に──ロボロとA。あの二人は前々から仲が良かったが、シャオロンが亡くなった後のAを見るロボロの目に殺意が宿っていたのだ。
最初に彼のその自然に気づいた時、恋い焦がれるAを泣かせた何者かにキレているのかと思ったがどうやらそれは違うらしい。
ロボロは完全にAへ、明確な殺意を向けていたのだ。
「なあロボロ」
「んぁ？どないしたん？」
「ロボロはAのことどう思っとるん？」
「えっ、そりゃあ…"理想のヒト"やと思っとるで」
うっとりと彼は表情を和げる。瞳の奥には羨望、期待そして小さな憎悪。
「例えばの話やけどもしAが理想やなくなったらどないするん？」
「…そりゃあ、殺すしかないやろうな」
ケタケタと肩を揺らして笑うこの男。完全に狂っていた。
Aはロボロを深く信頼している。俺がロボロのことを忠告したって聞く耳を持たないだろう。それならば、俺が彼女の敵となり…幹部の誰も信じないように仕向けるべきではないか。
そうして××番目のループして俺は深く彼女を傷つけた。
これは彼女が死ぬまで数時間前のある男の独白。
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白いろきつね。(プロフ) - 今更ながらに読ませていただきました すごい心を持っていかれるお話で涙腺が崩壊しながらも読ませて貰いました ループで心が壊れていく夢主さんを見ていて感情移入しちゃって、本当に心を揺さぶられる最高の作品でした。主様書いて下さり本当にありがとうございました! (2021年8月11日 0時) (
レス) id: 02f1a6e36f (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 菜乃さん» コメントありがとうございます…！死に戻りは私の性癖でして、設定好きと言われて喜んでます。この作品はお気に入りの一つなのでコメント頂けて幸せです。こちらこそありがたいお言葉をたくさんありがとうございました。またどこかでお会いできることを願っております (2020年6月27日 19時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ・ちょこみんとさん» コメントありがとうございます…！流した涙がもったいないですよ（そっとハンカチを差し出す）本当に素敵なお言葉をありがとうのざいます！ちょこみんとさんからの言葉で今後も文字書きとしてやっていこうと思います。ありがとうございました…！ (2020年6月27日 18時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
菜乃(プロフ) - 今更ながら一気に読ませていただきました…！めちゃくちゃ号泣しました…！このお話設定やストーリーも鳩山さんの文字の書き方も全部が好きで勢いでコメントしてしまいました…。素敵な作品をありがとうございました！！ (2020年6月27日 15時) (レス) id: a5b7bd47a4 (このIDを非表示/違反報告)
・ちょこみんと - 全話一気に読まさせて頂きました！涙がボッロボロに出ました…感動します…鳩山さんの作品が大好きです！これからも頑張って下さい！ (2020年6月27日 15時) (レス) id: 87dd4c4135 (このIDを非表示/違反報告)
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