【d!】君の顔も見たくない【軍パロ】

排除 ページ22

彼の死亡時間は大体決まっている。それは日が沈む、空が茜色に染まった頃だ。

それまでに、すべての要因を排除する。

私はホルダーに毒針と鉄扇を仕込むと、第二機動部隊の彼の元へと向かう。彼は呑気に同期達と共に食事を取っていた。その笑顔が、ひどく憎い。

「少し、時間いい？」

食事を取る男へ見せかけの笑顔で声をかける。
男は快く承諾して、私の後ろをついてきた。

「あの、すみません。Aさんが宜しければこちらで話をしてもよろしいでしょうか？」

後ろをついてきていたはずの男がいつの間にか前に来ていた。人さえいなければ場所なんてどうでもいい。私は頷く。
男が連れてきたのは、第二機動部隊の訓練場であった。合同訓練が休みとなった今、皆非番を楽しんでいるようで人っ子一人いない。

好都合だ、と私は男にバレないようにホルダーから毒針を引き抜く。


このまま、一刺しで──────────。




「Aさん」

私の手は、男に掴まれていた。

「これを、見てください」

男は私の手を取ったまま、訓練場のロッカーを開ける。私はその中身を見て、声を荒げた。

「……シャオロン！！」
「まさかあなたに作戦がバレるとは…。隊長の命が欲しければ、武器を全て俺に渡してもらえますよね？」

手首に力が込められる。痛みにより毒針を持つ指先の力が弱まってしまうと、それを分かっていたかのように男が毒針を取り上げた。

「ちょっと、どこ触って…！」

そして私のズボンに手をかけるとベルトとウエストの間から手を入れて身体を触られる。

「これも、没収しないと」

彼の手には鉄扇。
男は無抵抗の私に気を良くしたのか笑いながら鉄扇を撫でる。

私は自身の命が男に握られていることよりも、もっと大事なことが気にかかっていた。

男は私から武器を没収したことを良いことに私の手首を解放して突き飛ばしてくる。私の体はそのまま転がって、そしてやっと言葉を出すことができた。

「ゲス野郎が」
「すみませんね。それよりも、せっかくのクライマックスです。隊長の口も解放してあげないと」

男が丁寧にシャオロンの口についていたガムテープを外す。

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