社畜な元彼と遭遇した件について ページ8
この時間に空いている店と言えばクラブか低俗な居酒屋かバーぐらいだ。
ひとらんが案内したのは意外にも落ち着いた居酒屋。朝までやっているというのに店内は落ち着いていて、酔っ払いの怒鳴り声など聞こえない隠れ家な居酒屋であった。
「へぇ、こんなお店あったんだ」
「この間友達に教えてもらってさ」
友達かぁ。とAは思う。きっとそのお友達というのは彼女だったりするのだろう。こんなに落ち着いた店を男と来るとは思えないからだ。
追求しようか迷っている間に店員が来て、二人で簡単なツマミとビールを頼む。
すぐにビールは届いて、「乾杯」とグラスをぶつけた。
「それにしても久しぶりね。」
「そうだね。…二年ぶりぐらい？」
「月日経つの早くない…？あれから元気にしてた？」
「うん、仕事は忙しくて死にそうだけどね」
ひとらんとは二年前程に半年間ほどの付き合いであった。彼は取引先の営業マンで上司含めて何回か飲み会に行き、互いに打ち解けていつの間にか付き合っていた…そんな感じ。最初は二人とも仕事が忙しい中、無理に時間を作っていろいろなところに出掛けた。彼は穏やかで優しく…それでもって芯がある人だった。Aはそんな彼に惹かれていたし、ひとらんもひとらんで不満はなかったように思う。しかしそんな二人にも問題があった。二人とも、ブラック企業に勤めているということだ。
会いに行きたくとも、残業により行けない。朝だって早く電話すら出来ない。休日出勤は当たり前。などという無茶苦茶なスケジュールをこなしていた二人にとって別れが訪れるのも自然なことであった。
いつしか連絡を取らなくなり、気にもしなくなった。そんな程度。
なのに、今、二人向い合って酒を飲んでいるのは不思議なことだ。
冷たいビールが喉を通り、疲れた体に染み渡る。Aは自然と口角があがっていった。
「相変わらずビールが好きなんだな」
ひとらんはビールを飲んでにやにやするAを笑ってみていた。少し恥ずかしくなって小さくなる。
「ここ、ビールにこだわりあるところだからいつかAと来たいって二年前から思ってたんだ」
「え？」
「ずっと謝りたくて。はっきりしない関係で申し訳なかったなって」
「お互い忙しかったから仕方ないよ。そんなこともあるって。私も私で連絡しなかったのは悪かったし…」
「ごめんな。」
彼に謝られたことで、本当に関係が切れてしまった気がしてAはなぜだか無性に泣きたくなった。
社畜な元彼と遭遇した件について→←社畜な元彼と遭遇した件について（現代パロ）
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鳩山(プロフ) - 114514さん» コメントありがとうございます…！（そっとハンカチを差し出す）難民さんに刺さるお話があれば幸いです！ (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
114514 - ぐはっ（吐血） (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます…！難民として完結できたことを誇りに思います！今後とも活動は続けていきますのでよろしくお願い致します…！ (2020年4月7日 17時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - htrnさんの素敵なお話ありがとうございました……！ (2020年4月7日 7時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！htrnは私の最推しでして、自給自足のためにこの作品を作りました。その言葉に私は咽び泣くほど嬉しいです…！ありがとうございました！もう終わりに近づいてはおりますが、今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月29日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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