君さえいれば ページ29
女性から子供の詳細を聞いて、歩き出すAを見てまた溜息を吐く。
ここにこんなにも人探しにもってこいの異能を持つ自分がいるのに、彼女が頼ろうとしないからだ。
逆を言えば、ロボロの異能を利用する気はさらさらないということなのだが。
「A。人探しは、俺に任せてや」
「え、ロボロさん…？」
女性とAが同時にロボロを見やる。
「ロボロさん…瞳が、」
ロボロはカラコンを取って桃色の瞳を露わにする。Aはそんなロボロの行動に驚いたようで目を見開いていた。そして、そんな彼女の隣にいた婦人はというと、
「ばっ化け物！！」
と叫び声を上げた。住民がその声に反応して三人に自然と視線は集まる。直接は言いはしないが彼らもまたロボロを見て冷ややかな視線を送っている。
「なんで、そんな酷いこと言うんですか…」
それは静かな怒り。
「ロボロさんの、瞳は綺麗です…っ！化け物なんかじゃないんです…っ！いつだって誰かの為に、彼は見たくないものだって見てるのに…、そんな、ひどいこと言わないでください…！」
声の主はAであった。ロボロと背丈の変わらない小さな身体で、沢山の視線からロボロを守るように立っている。ロボロはそんな彼女を見て堪らなく嬉しくなった。
当たり前の反応に心すら傷まなかったのに、彼女の非凡がロボロの心を掻き乱すのだ。
「………奥さん。その子は男の子で間違いないか？」
化け物のロボロの声に震えながら女性は頷く。
「なら心配ないで。今、建物の屋上で気持ちよさそうに昼寝しとるわ」
桃色の瞳と目があった女性は、お礼を言うことなく逃げるように去って行った。それでもAとロボロに集まる視線は相変わらずだ。
「ごめんな。買い物どころやなくなってもうた」
「ロボロさんが謝る必要なんて、ありません…」
間接キスをした時の大人びた彼女と同じ人物とは思えない、子供のように拗ねた少女。
綺麗な黒曜の瞳は涙で濡れていた。
「Aが、俺の瞳を綺麗やって言ってくれたやろ？」
「…はい」
「あれ、ほんまに嬉しかったんやで」
「ほんとのことですもん」
それを本当だと言えるのはきっとこの世界で彼女だけ。自分のことを平凡なんて言うが、彼女は全然平凡なんかではない。
「俺な、Aさえ居れば何も怖くないんよ」
恋愛初心者のロボロには彼女をときめかせられるような愛の言葉は紡げない。だから自身の本心を伝えて、震える手で彼女の手を取った。
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🍞 - ご、語彙力が爆発してる、、すごすぎんか？ (9月24日 22時) (
レス) @page42 id: 42c1ea8f94 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんいつもありがとうございます…！番外編まで読んでくださって感謝しかありません…！また他作品は更新していくつもりですので今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月14日 20時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます！本編のほうも、番外編のほうも、鳩山さんの素晴らしい文章に引き込まれ、読んでいて幸せな気分になれました。これからも鳩山さんの作品を読み続けさせてください…！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - メオさん» コメントありがとうございます！告白までしていただいて嬉しいです！これからものんびり更新だと思いますがよろしくお願いします…！ (2019年11月12日 19時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
メオ - うん、好きだ(確信)ありがとう(嬉し泣き)頑張ってくださいね！！ (2019年11月12日 14時) (レス) id: 8aa2d098f2 (このIDを非表示/違反報告)
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