例え、 ページ37
私が目を覚ますとつーんと鼻につく医薬品の匂いがしてここが医務室であることを悟る。起き上がろうとするとカーテン越しから声が聞こえて思わず動きが止まる。
「うーん。これだけ検査しているんだけど身体に何の異常もないんだよね。おっかしいわぁ」
しんぺい神はおかしい、おかしいとボールペンを何度もカチカチと頭で押す。
「ほんまに大丈夫なんか？」
「医者から言わせてもらうと大丈夫としか言いようがないデータなんよ。シャオロンこそ心当たりはないん？」
「分からんねん…。俺が聞いてもAは大丈夫としか言わへんし…。何か悩みでもあるんかな」
「頭痛だけなら精神面からも納得いくけど、まさか倒れるまでとはね…さっきもチーノが血相変えて走ってきたから驚いたよ」
どうやらしんぺい神とシャオロンが話しているようだった。心配をかけてしまって申し訳ない。
「なあ、ぺ神」
「ん？」
「チーノが言ってたんやけど、」
「おん」
「……Aの異能は、無事なんか？」
シャオロンの言葉に息を飲む。
立ち上がろうと手をついていたテーブルからペットボトルが転がり、カーテン越しの二人がこちらに気づいた。
「…A、起きたんか？」
「頭痛は和らいだ？」
「はい、大丈夫ですよ。ご迷惑をおかけしてごめんなさい」
二人に心配かけないように笑って頭を下げる。二人はすぐに私の肩を持って頭を上げさせる。
「ほんまに大丈夫か？ どっか痛いところはないんか？」
「大丈夫だよ。寝たらスッキリしたの」
シャオロンが私を気遣ってくれる。そんな単純なことが嬉しくて、でも、さっきの───「Aの異能は、無事なんか？」言葉が私の心の底に残ってしまっていて、うまく笑えている自信がない。
私のそんな難しい感情を読み取ったのだろう。しんぺい神が、「とりあえず検査するから、シャオロンは一回外に出とってや」と声をかけた。
シャオロンは医務室から出る最後まで心配をしてくれた。心配をかけてしまって申し訳ない。
でも、少しだけ距離を置きたい気持ちだったのだ。
「しんぺい神さん」
「…どうしたん？ 気分でも悪いんか？」
「私の、異能って、」
自分のことは一番分かるとはよく言うものだ。
「…………せやね」
目を伏せたしんぺい神さんが全てを物語っていた。
「じゃあ、やっぱり私、異能が使えなくなったんですね」
「使えんかは分からん。一時的にコントロール出来なくなっとるかもしれんし…ただ、"今"は使えへん。それは確かや」
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🍞 - ご、語彙力が爆発してる、、すごすぎんか？ (9月24日 22時) (
レス) @page42 id: 42c1ea8f94 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんいつもありがとうございます…！番外編まで読んでくださって感謝しかありません…！また他作品は更新していくつもりですので今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月14日 20時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます！本編のほうも、番外編のほうも、鳩山さんの素晴らしい文章に引き込まれ、読んでいて幸せな気分になれました。これからも鳩山さんの作品を読み続けさせてください…！ (2020年3月14日 13時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - メオさん» コメントありがとうございます！告白までしていただいて嬉しいです！これからものんびり更新だと思いますがよろしくお願いします…！ (2019年11月12日 19時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
メオ - うん、好きだ(確信)ありがとう(嬉し泣き)頑張ってくださいね！！ (2019年11月12日 14時) (レス) id: 8aa2d098f2 (このIDを非表示/違反報告)
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