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「お、じさん…やめて…っ」
爪先まで垢で汚れた手がAの白い首を掴む。苦しさで倒れ込むAに馬乗りになり男は腕に力を込めた。歩く人々は誰も苦しむAに見向きもしない。それどころか"軽蔑の目"を彼女に向けていた。
「あんたら貴族のせいで私たちがどれだけ苦しんだことか」
「貴族は全員殺せ！」
「もっと苦しめてやれ！」
外野はみんな、何も知らない無知なAの死を望んでいた。──自分の身は、自分で守れ。
Aの耳元でグルッペンの声がした。息が出来ず生理的な涙を流しながら、Aは男の腕に爪を立てる。同時に片方の手で地面の砂利を手に取って男の血走る目に向かって投げた。
「なっ…！」
「ｺﾞﾎｯ…ｶﾞﾎｯ…」
男の力が弱まったその瞬間に渾身の力で男を蹴り上げて自分の上から退かす。久しぶりに肺に入る酸素に咳き込んでしまう。
「クソッ…この悪魔の娘…！絶対許さねぇ！！」
目から涙を流しながら立ち上がった男はAに向かって拳を振り下ろした。体を動かせずに咳き込んだAは今度こそ終わりだと顔の前に手を出してガードだけする。
周囲に、鈍い音が響き渡る。
「あれ、なんで…？」
しかしAは無傷であった。恐る恐る手を下ろして目の前の光景を見やる。大柄の男性は頭から血を流し倒れており、一人の少年がそこに立っていた。
「おっさん、道の真ん中で邪魔やで」
血のついた角材を持った少年はAと同じぐらいの年齢だ。彼は倒れた男の体をまさぐる。そして
「あった。あった。これ返してもらうで？」
と笑いながら小さな宝石のついたネックレスを手に取った。
「…なに見とるん？」
Aの視線に気付いたのか少年がまん丸のエメラルドの瞳を向けた。急に視線を向けられたので驚いてしまう。それでも目の前の彼に助けられたのは変わらず頭を下げて礼の言葉を伝えた。
「…助けてくれてありがとう」
彼は目を丸くして周囲を見渡した。
「貴方に言ってるの。ありがとう。」
感謝の言葉を自分に言われていると理解してないと悟ったAは少年の血で濡れた手を取って笑いかけた。
「…俺、が怖くないん…？」
「えぇ。だって貴方は突然私を襲ってきたりしないじゃない」
少年の目に写るのは弱肉強食のこの世の中で自身に好意を持ったA。向けられる笑顔が少年にとってはとても眩しかった。
「はは、…そっか。俺も気が強い奴は好きやで。ここでは目立つし、ついてきてや。」
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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