＊ハシバミ ページ16
「ん……？」
Aが目を覚ましたのは、王宮のような煌びやかな部屋ではなく物も必要最低限しか置かれていない白い部屋であった。つーんと薬品の香りが鼻にきて、ここが病院であろうと考える。
「起きたん？」
「うつ兄さん…？」
上体を起こそうとすると腹が痛みうまく起き上がらなかった。それを見かねて咄嗟に鬱が支える。
「今は大人しく寝とった方が身のためやで」
「兄さん、革命は？…あれから、どうなったの？」
「成功や。β国の王族や貴族は全員捕らえられた。今は独房に入っとるで。これからあの国は生まれ変わるんやろうな」
「そっか…そう…」
「そんな嬉しいん？」
Aはベッドに横になったまま静かに涙を流した。鬱が彼女を労わるように優しく問いかける。
「当たり前でしょ…やっと、みんなが自由になれるの」
零れる涙を拭こうと手を動かそうとして初めて誰かに手を握られていることに気付いた。その人物に視線を向けたAは「あっ」と声を出す。
「この子な、Aを撃ったことに対してすごい責任感じててさっきまでずっと謝って泣いとったんやで。今は疲れて寝とる」
鬱のいう人物とは、革命時にロアに命令されAを撃った少女であった。ボロ切れを見に纏い、髪の毛はボサボサ、頬も痩けてしまっている少女の手はそれでも暖かい。Aはその少女の頭をゆっくりと撫でる。
「どれい達はみんなどうしてるの？」
「まずは一旦、うちで保護したで。この子だけは飯にも風呂にも興味示さんでお前の側におるって言ってきかへんかったんや。この子、大物になるで」
「私を撃ったぐらいの強さがあるのよ。なってもらわなきゃ困るわ」
鬱とAは目を合わせてクスクス笑う。その声に眠っていた少女が目を覚ました。
横になったままAが「おはよう」と声をかけると目を真っ赤に腫らした少女の瞳から透明な涙が落ちる。
「ふふ、そんなに泣いちゃダメだよ？可愛い顔が台無し」
「ごめ…っ、ごめんなさい…っ…こわかっ、た…わた、わたしが、ころしちゃった……」
「ほら、私を見て？死んでないでしょ。大丈夫よ。あなたは何も悪くないもの」
Aはそのまま少女の頭を撫で続ける。
「怖い思いをたくさんしたもの。悪夢はもう終わりよ。可愛い子…あなたの名前を教えて」
ポロポロ泣く少女にAが質問する。ずっとごめんなさいと言い続けた少女だが、Aの質問に対し「れの」と小さく返事をした。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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