＊ヤドリギ ページ11
Aはβ国の王宮へと戻る。
「A様お帰りなさいませ」
丁寧に扱われる生活は悪くはない。しかしAにも野望はあるのだ。馬車に揺られ帰る道中で、地面に這いつくばる人間が目に入った。β国は世界政府加盟国の国の中でも最も階級社会の国だ。そのため貧富の差が激しく、貴族たちが悠々自適に暮らす一方で平民達が苦しんでいる。Aはそれが許せなかった。
「あぁ、愛しのA…帰ってきたのだね。僕の為とはいえ遠い所へ行くものだから心配したのだよ。」
「…殿下。」
「君はいつ見ても美しいね。」
β国の次期王であるロアがAに触れようとするがAはひと睨みし、それを止める。ロアは気を悪くするところが気のよさそうに笑っていた。
一見優しそうに見えるこの男も、Aが毛嫌いする貴族の一人である。
「私は疲れてしまいましたので、先に部屋で休ませていただきますね。殿下も夜更かしされませんよう」
一礼してロアの前を通り過ぎる。
今、平穏に暮らしている貴族たちにグルッペンが成敗を加えると思うと楽しくて楽しくて仕方がなかった。
部屋に戻ればAの護衛の一人が声をかける。
「A様、もうお部屋にお戻りですか？」
「えぇ。今日は長旅したから疲れたの。」
「…グルッペン・フューラーとはゆっくりお話ができましたか？」
「！？」
騎士として、鎧を見に纏う男の顔は見えない。ただ、エメラルドの瞳がAを捉えていることだけはわかった。Aの行動を外出に連れて行っていないこの男が知っているのか。Aは一歩後ずさる。そして運の悪いことに今、この場にはAと護衛一人しかいなかった。
「そない警戒せんと大丈夫やで。A様には悪いようにせんし」
β国特有の訛りを話す男。
「あなたは誰なの？一体何の為に、」
男はクツクツと笑いを漏らす。
「ええやん。気ィ強い女は好きやで」
Aの目の前まできてそっとその白い顎を持ち上げる。
「俺のことはいずれ分かるんやし、今はお互いに知らん顔しとこ、な？」
かろうじて見えるエメラルドが星のようにキラキラと輝く。稀にみない純粋な瞳に、Aはぱっと男の手を振り払い「じゃあ、私のことも知らん顔してよね」と強く言い放った。
「当たり前やろ。来たる時まで俺がA様をお守りするで」
「それこそ当たり前よ。あなた私の護衛じゃない」
「気に食わん貴族やったら即殺しとったけどな」
彼はまた愉快そうに笑うのだった。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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