【d!】アキレアの祝福を【企画】 (ページ6)

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つかまえた！ページ6

やられた。あっさりと逃亡を許してしまった。
慌てて私は手元にあったナイフを取ろうと机の上に手を伸ばす。

奴はいまさっき脱獄したばかり。勿論この近くにいるはずだ。一瞬でも気を抜けば私がやられる。
ナイフさえ持っていれば少しくらいなら抵抗できる…と、思っていた。
ナイフの持ち手に指先が触れる。
しかし背後からその手がするりと取られ、強く壁に押し付けられた。

『……ッ！？』
「いやぁ余裕でしたわー」

橙色の双瞳に睨まれる。……まずい。
精一杯抵抗しようとしたが、体格差ゆえかピクリともしなかった。

「抵抗しても無駄やで？もうこの基地に俺の仲間来とるみたいやし？諦めた方が身のためやで。」

楽しげに歪む口元。強く握られた手首が痺れてきた。

ここで私はやっと気がつく。
私たちは元々彼らの掌の上で遊ばされていたのだと。
よく考えればこんなにあっさり幹部が捕まるはずがないのだ。奇跡的に捕まったとしても、突然拉致られた幹部が危機感を持っていないはずがない。怯えを抱かないはずがない。私たちに殺意を飛ばさないはずがない。

つまり、これは罠だったんだ。

彼が捕まるのは、初めから……

「…わかった？まぁもう気がついても遅いんやけどね。」

ギリ、と奥歯を噛み締める。気が付かなかったことが本当に腹立たしい。最初から最後まで胡散臭い笑みを浮かべていた彼は、上機嫌な様子で私の懐に隠されていたスタンガンを取りだした。

「んー、でもおねーさん俺のドタイプなんよなぁ。連れて帰っても怒られへんかなぁ。まぁ危険な任務やったし少しは許されるやろ。どっか繋いどけばええんやし。」
『…くそ、………離せ…！』
「ちょーっと眠っといてな？」

身体中を駆け巡る電撃。
一瞬で私の意識は刈り取られる。
薄れる意識の中で、私はやっと彼の正体を思い出した。

『…さ…ぎし……』
「おやすみ、おねーさん」

―――暗転。