【d!】アキレアの祝福を【企画】 (ページ39)

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真夜中のお茶会 os (夏みかん) ページ39

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ガチャリ

「あ、オスマン、帰ってきてたのか。」

女性の割には少し低い声。
ボサボサの髪に、度が合っているのかよく分からないずり落ちた眼鏡。
隈がくっきりと浮かび上がったいかにも寝不足の顔。

「ただいま、......やっぱりA無理しとった。」

対して、栗色のアシンメトリーの髪につやつやの白い肌。
外交帰りの彼からはかすかにこの国とは違う匂いがする。

「いや、トントンに比べれば私なんて......。
それに、本来ならば軍人として戦場に出るべきなのに、それが認められていないのだから、これくらいは当然だろう。」

Aは計算機をカタカタと叩き、話しながらもその手が止まることはない。

この軍の経理をたったの数人で担当し、若くしてそれをまとめる重要な役割を果たす、つまり現代風にいえば経理部長、それが彼女の存在である。

「まったく、なんだこの使途不明金は......？
大方、グルッペンの金の無駄遣いだろうが......。」

ふー、と大きく息をつくA。
年頃の若い娘のはずだが、言葉遣いは男のようで、化粧っ気もない。
女子力でいえば、確実にオスマンの方が上だろう。

「せやなぁ、あいつ引き出しに甘いもんたくさん隠しとるし、そのうちのひとつちゃう？」

オスマンはカチャカチャと音を立てて花柄のティーセットの用意をはじめた。
上機嫌に鼻歌を歌いながら、砂時計の砂がサラサラと流れ落ちる様子を見つめている。

「あいつ、そういうところをそろそろ改めないといけないんじゃないか。」

Aはパタンと帳簿を閉じる。
そして、紅茶の甘い香りにつられたようにふかふかのソファーの上に座る。
窓からは大きな月が出ていて、周りの星が霞んで見えた。

「はい、紅茶。
あとお土産やで、おいしそうやったから買ってきてん。」

じゃん、と開けられた小ぶりな箱には宝石のようにキラキラと輝くマカロンがぎっしりと入っていた。
それを見た瞬間に、Aの目がきらきらと光る。
オスマンはその様子に嬉しさを感じていた。

ダージリンの香りを漂わせ、トポトポと小気味よい音を立ててティーカップに注ぐ。

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