【d!】アキレアの祝福を【企画】 (ページ38)

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対戦ページ38

城壁にいたのはチーノと名乗る男だった。

　威勢良く声を張り上げたはいいが、コネシマの冷たい返しにビクッと身体を震わせた。
それを見たショッピは余計に脇腹の痛みが増したような気がした。

「ショッピ！ここは俺がなんとかする！
今のうちに逃げてええぞ！」
「いや、思ったより重症なので無理っす」
「なんでや！根性で走らんかい！」
「ミイラ取りがミイラになるってこういうことを言うんやな」

　１人で騒いでいるチーノに冷たい視線で睨むコネシマと一緒に、また別の意味で冷たい目で見るショッピは、注意が半分チーノにいったコネシマの隙を縫って走る準備をする。

　きっと帰ったころには全身の骨にヒビが入っているかもしれない。
だがまあ、死ぬよりはマシだ。
ショッピは少しだけ勇気を出した。

＊

「逃げられたの？」
「いんや、片方だけ捕まえた。
しかもなぜか援軍に来たバカの方が捕まったわ」
「援軍って言えるのかしら、それ」

　コネシマは頭をガシガシと触った。
背負い投げの衝撃はまだ少し余韻を残している。
あの後は意地と根性で戦っていたから、戦闘が終わった今、ふらついた。

「頭を打ったの？だめよ、そんな乱暴に触っちゃ」

　Aは自分よりずっと背の高いコネシマの頭に手を伸ばした。
血は幸い出ていないようでほっと安堵する。

　コネシマがそのままAに寄りかかった。
椅子に腰を下ろしたAの膝上に頭を乗せて、そのまま静かに瞼を閉じた。

「……いつもありがとう。
ゆっくり休んで、また明日も元気でいてね」

　土埃がついた金色の髪を優しく撫でながら、Aは微笑んだ。

＊

「なぁんで助けにいったあいつが捕まるんですかねぇ」
「いやほんと、何も言えないっす」

「勝手に飛び出して……ほんまはゾムに行かせる予定やったのに……。
あ、ショッピ君はよう生き残ってくれたな。医務室でしばらく安静にしててな」
「はい。あ、あともう俺は暗殺任務無理なんで、トントンさんこれからは全部ゾムさんに回してください」

「ああ……ええよ。今回は相手が悪かったなぁ」
「いやほんまに」