【d!】アキレアの祝福を【企画】 (ページ36)

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対戦 kn （鯉口）ページ36

「ぐえぇっ！！」

　コネシマは後頭部を地面にたたきつけられて、意識のほとんどを持って行かれそうになった。
ちらついた視界では自分を背負い投げした男、ショッピが大きく口を歪めてこちらを見ていた。

「はっ……ざまぁ」

　笑うショッピは心の底から愉悦を感じていた。
頬には数本切り傷が出来ており、着ている服も所々斬られている。
コネシマよりもずっと手負いだった。

＊

　最後の抵抗とでも言うように、ショッピはコネシマの腹に一発食らわせた。

　呼吸が一瞬止まってよろめいたコネシマが、そのまま倒れずに踏ん張り立つのを予測し、殴った手とは反対の手を伸ばして、彼の右腕を引っ張った。
そして渾身の背負い投げをお見舞いしたのである。
敢えて頭を強打する角度で、だ。
その後コネシマは冒頭の声を上げた。

　ショッピは、コネシマの悲鳴とも言えぬ声を聞いて笑みが止まらなかった。

　ごり押しとも言える戦法が成功したことに対して嬉しいという気持ちもあったが、何より目の前で脳と身体に受けた振動と痛みに耐えきれていないコネシマの姿が滑稽で愉快だったのである。

　だが、今のうちにとどめを刺そうと、持っていたダガーで彼の後頭部を掴み上げ、そのまま刺そうと片腕を振り上げた時だった。

「なめんなよクソ猫ぉ……！！」

　後頭部を掴まれたコネシマはそう息も絶え絶えに叫ぶと、ショッピのダガーが頸椎に届く寸前に左腕の肘を後ろに投げるように振った。

　今のコネシマに武器はない。
持っていた大剣は、先ほどショッピに斧で少し離れた場所に弾かれてしまっていた。
ナイフ一本も持っていなかったコネシマには、己の身体しか武器がなかった。

　勢いのついた肘鉄もそうだったが、一瞬で自分と同等の手負いにされたコネシマの底力に驚いたショッピは、そのせいで反応が遅れた。

　ダガーで首を刺す前にコネシマの肘鉄を脇腹に食らったショッピは、その鉄のように硬くて鋭利な肘の攻撃に、内臓を守る骨が小さく悲鳴を上げる感覚を確かに感じた。
さすがにこれには天才であっても反応は出来ない。

「――ウッ……！！」

　背負い投げと違って、意識が飛ぶことはなかった。
だが、それとはまた別の内臓に響く痛みがショッピを襲う。
今度は彼がダガーを手放してしまった。