それはきっと間違いではなかった ページ25
✾
――くだらねぇ理想だ。
本当に淘汰されるべきなのはどちらなのか分かっていないんだ。
彼女が最期に彼に残した言葉だ。
敗戦して、滅ぶか、属国になるかの選択を迫られていたとき、彼女はこう言った。
「ショッピ、毒された私は誇りを捨ててまでこの国に仕えようとは思わない。
私が仕える王はあのバカ息子じゃないんだ」
「この国の腐った理想が、いつかの未来で変わることはあるだろうか」
「ショッピ、お前は間違えるなよ。
お前がいるべき国はここじゃないんだ。正しいと思った事をやりなさい」
「……先生、俺は……」
＊
「おう、ショッピやないか」
「ああ、コネシマさん」
「考えごとか？ こんな夜中に珍しいなぁ」
「いえ、特に理由はないですよ」
「そういやショッピ君がここに来て十年ぐらい経つなぁ。懐かしいわぁ」
コネシマはしゃがんでたばこを吸い出した。
ショッピは変わらずコネシマとは反対方向を向いてテラスの手すりに寄りかかっている。
「あのときは驚いたもんや。
グルッペンがいきなりショッピ君連れて帰ってくるんやもん」
「ああ、そういやそんな反応してましたね」
「自分からここに来たいって志願したんやって？
普通は嫌々来る奴が多いのに、それにも驚いたわ」
コネシマはヘラヘラと笑った。
対してショッピは無表情だった。
先ほどよりも幾分短くなったたばこを灰皿において、ショッピは一度目を閉じたが、すぐに静かに瞼を開けた。
「別に、大したことじゃないっすよ」
――ただ、自分が信じるべき人はあの国にはおらんなって
✾
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作者名：軍パロを愛する連合軍
x他11人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2020年6月1日 12時
