前世の因縁 ページ14
Aは二人の美男子に囲まれ、ノルベルト学園に通う女子生徒達から一身に羨望の眼差しを受けながらも立ち尽くしていた。目の前で笑うベニトアイトが美しく輝いているから、その瞳に囚われてしまっていたのだ。
「あ…挨拶が遅れましたわね…わたくし、」
「ストラスブールの第一皇女のAやろ?世界中であんたの名前を知らん奴なんて居らんわ」
「違いないな」
彼の言葉に続けてグルッペンが頷く。世界の中でもトップクラスの大国ストラスブールのAへ馴れ馴れしく話しかけるベニトアイト。顔の良さから気にしていなかったが、どうも彼女には馴染みのない顔であり、覚えがない。前世の記憶を遡っても、彼のような顔を見た覚えがなかったのだ。
それを察したのか、ベニトアイトは掛けていた腰を上げると膝を折ってAへ挨拶を始める。
「どーも。俺はウーヴェ王国のコーネ=コネ・コーネ。まだ出来たばっかの未熟な国やけどよろしくな。」
高らかに、大国の王族を見ても怯みもしない。そしてAは、彼の口から出身国が出てやっとその存在を認知した。
ウーヴェ王国。まだ歴史の浅い、北欧の国。しかし歴史こそ浅けれどその成長ぶりは周囲の国を驚かせていた。特に、ウーヴェの軍事は目が見張るものがある。政治なんてよく知らないAでさえもウーヴェの強さは耳にするほどであった。今はまだ新興国として身を潜めている国の、未来の王にAは息を飲む。
──確か、ウーヴェ王国は、ストラスブール革命においてグルッペン・フューラーに協力を惜しまなかったのでしたわよね。
世界でも三つ指に入るであろうウーヴェが、中立に立たず、グルッペンに肩入れしていた理由が分かった。彼らはこの学び舎で、水面下で友情を深めていたのだ。少しお馬鹿なAでもこのぐらい考えれば分かる。
「新興国…それもウーヴェの御子息だなんて…」
「ストラスブールの姫君に知られとるとは光栄やなぁ」
「ウーヴェは世界各国を脅かす国とも言えるからな。知らない方がおかしいだろう」
「そうかぁ?あんま興味なかったわ」
カラカラと彼は笑う。
「名前長ったらしいやろ。俺のことは間をとってコネシマって呼んでや」
「どこが間だ」
「ええやんけ」
グルッペンが突っ込めばまたベニトアイトは白い歯を見せた。Aはそんな二人に困惑する。話があると言ったのはこの男を紹介するためだったのだろうかと疑問に思いつつ、なかなか声をかけることが出来なかった。
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枕の怨念ぅ - 凄く親近感の湧く小説でした!面白いです! (11月18日 16時) (レス) @page5 id: 7f1a8024d0 (このIDを非表示/違反報告)
くれぴと - 夢主様考えることが言い方悪いけど欲望に忠実すぎて逆に幼子みたいで少し可愛らしいと感じる自分がいる...これうちだけかな? (5月7日 20時) (レス) id: e2b452ca9a (このIDを非表示/違反報告)
春風駘蕩(プロフ) - コーネコネコーネは笑う⋯めっちゃニヤついてしまった⋯ (2022年9月17日 23時) (レス) @page14 id: 34351208ff (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - knさん…名前めっちゃコネるやん…不覚にもねるねるねーるねを思い出してしまった…。すみません…。 (2020年12月11日 5時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - こすずめさん» コメントありがとうございます…!一応チラッとだけ概要に書いているのですが、バチコリと読んでおります!元ネタは某なろう系のものです!お褒めの言葉並びに応援のお言葉をありがとうございました…!本当に励みになっております! (2020年9月14日 2時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
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