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部活の帰り道。10月も中旬となり、徐々に日も短くなり始め、もう辺りは真っ暗だ。そのためか最近、高尾くんが家まで送ってくれるようになった。今日も2人で帰ることになった。
「真ちゃん、まだ気づいてないのかな?」
高尾くんが、徐にそう呟いた。
「なにに?」
いきなりのことで、なんの話か分からず質問する。
「Aちゃんへの気持ち」
「あー!たしかに!今日とか特に思ったけど、鈍感すぎだよね!」
言われてみればそうかもしれない。先週、祭りの日で私たちは〈真ちゃんの想い〉に確信を持った。しかし、当の本人は一向に気付く様子はなかった。それどころか、気付かぬうちに嫉妬して、苛立ちをお姉ちゃんに押し付けていることが多い気がする。今日もそうだった。
個人的に、正直これはまずいと思ってる。
お姉ちゃんは、真ちゃんに歩み寄ろうとしてるみたいだけど、如何せん真ちゃんがあの様子じゃ、一方通行だ。
それに、お姉ちゃんがたとえ真ちゃんの気持ちに気づいたとしても、中学の頃のトラウマのせいで、前に進めないと思う。
だから、真ちゃんからお姉ちゃんに告白してほしいと思ってるんだけど……。
なんて、私が考えるのは余計かな……。
なんて1人で考えていると、高尾くんがこう言った。
「てか、気づいたところで、プライド高い真ちゃんが告白するかなぁ」
そのセリフにハッとする。
「たしかに……」
私が告白したとき、「恋にうつつを抜かすなど……」とか思ってそうだったし……。
「ま、何にしても、2人が今のままでいいんならそれでいいけどさ」
高尾くんは頭の後ろで腕を組んでそう言った。
彼のいうとおりで、これは私たちではなく、お姉ちゃんと真ちゃんの問題だ。
でも……
(私は、お姉ちゃんに幸せになってもらいたいな……)
と、心の中で、そう呟いたのだった。
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ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ大好きな作品です…、嫌い者同士がいつの間にかお互いを意識し出すという私の性癖にぶっ刺さりの作品でした…。終わってしまったのが悲しいぐらい作者さんの緑間が大好きでした。素敵な作品をありがとうございました (11月9日 8時) (レス) id: da835a1297 (このIDを非表示/違反報告)
いちご大福(プロフ) - 緑間よ、早よ告れ。そして鈍感にも程があるぞ。 (2022年6月11日 15時) (レス) @page35 id: a070048203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月25日 11時