59 ページ14
言い訳の意味がよくわからないが、緑間くんは私のことが心配なのか、私の後をつけてきたみたい。
「はぁ……もう勝手にしてください」
私は再びため息をついてから、コンビニへの道のりを再開した。
(そういえば……)
彼と2人でこんなに会話を交わしたのは、今日が初めてかもしれない。端的に済ませるか、結局占い関連の話になって喧嘩に発展しているかのどっちかだから(まあ、今も喧嘩しているようなもんだけど)。
それに、合宿1日目のときにも思ったが、なんかやっぱり、最近は緑間くんが優しい気がする。昨日も部屋まで運んでくれたみたいだし。きっと彼は無自覚なのだろうけど……。たぶん、根が優しい人なのだろう。たしかに彼のことは嫌いだし気に食わないけど、そこは認めているし、なんとなくわかる。
なんて考えていると、あっという間にコンビニについた。ほら、やっぱりすぐじゃないか。
目当てのものを見つけ、レジへ行く。緑間くんをチラリと見ると、一応ペットボトル飲料を購入していた。
(てか、今日のラッキーアイテムって言っても、あと数時間で終わるじゃん……)
って思ったけど、黙っておいた。しかも、先に会計を済ませた彼だが、ご丁寧にも私の会計が終わるまで待っていてくれた。
……最初は彼自身が嫌いだったけど、別に今はそうでもない。毎回彼を見るたびに、イラついて体力を消耗するのはアホらしいと思うようになったからかもしれない。
最近は好き嫌いが基本真逆だから話が合わない人、気に食わない人、変な人ぐらいに思えるようになってきたかな。
だから、少しだけ、ほんの少しだけ歩み寄ってみようと思う。
「……おまたせ」
「別に待ってないのだよ。帰るぞ」
「うん」
私はうなずいてから、彼の後に続いた。
すると、急に後ろから右腕を引っ張られた。
「梨花ちゃん？！」
「っ！！」
驚きながら振り向くと、見覚えのある人物がそこにいた。だけど、正直忘れ去ってしまいたい人でもあった。
「す、鈴木くん……」
私がそう返すと、先ほどまで明るく輝いていた彼の瞳や表情が、一瞬で暗くなった。
「なんだ、お姉ちゃんの方か……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時：2022年5月10日 16時
