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「皆さん、休憩です!」
12時55分。
マネージャー……梨花ちゃんの合図で、部員たちは練習をやめる。
(合宿は流石にキチィ……。秀徳の練習、やっぱレベチだわ)
秀徳の練習はいつも厳しいけど、合宿の今日は一段とキツかった。汗だくになって、ものすごくお腹が減った。時間的にも昼メシ休憩だな、と思いながら、監督と梨花ちゃんのいるベンチへ向かった。
「今からは昼休憩です!ご飯はえっと……」
てっきりAちゃんが直接持ってきてくれると思ってたけど、全く見当たらなかった。梨花ちゃんもそう思っていたのか、一瞬戸惑って携帯を確認する。すると、一報が入っていたのか、体育館のステージに向かって歩きだした。
「ここです!」
ステージ上には大量のおにぎりがあった。Aちゃんが置いてったの、全然気づかなかったわ。
「よっしゃー!ようやくメシだ!いっただっきま〜す!」
先輩の目を若干気にしつつも、腹ペコには勝てないため、いの一番にステージに向かい、おにぎりを頬ばる。
「んー!うっめー!」
一口食べれば、もう天国だった。お腹が減りすぎて、ただのおにぎりがこんなに美味く感じられるなんて、人間って幸せだわ。
「確かに、うまいな」
「やるじゃん、橋本姉」
大坪先輩と宮地先輩も、Aちゃんのおにぎりを褒める。
「私も食べよ!いただきまーす!」
梨花ちゃんもお腹が空いていたのか、おにぎりを一つ取ってすぐ口に入れる。
「ん?!何コレ!すっごいしょっぱいんだけど!」
しかし、満足する俺たちとは裏腹に、梨花ちゃんは眉間にしわをよせて、不味いという顔をした。
「そうか?塩加減はちょうどいいと思うが」
「お前の舌、狂ってんじゃねえの?」
部員とは違う反応をする梨花に、大坪先輩と宮地先輩がそう言う。
(でも梨花ちゃんは、料理は下手だけど、バカ舌ではなかったような……)
そう思いながらステージの端の方を見ると、他よりおにぎりが少ない少しだけ小さなお盆があった。近くに寄って見ると、「監督さんとマネージャー用です。」と、Aちゃんの丁寧なメモ書きがあった。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年4月22日 14時