42 ページ42
とまあ、そんなこんなで私は、写真部としてバスケ部の合宿に参加することになってしまったのである。
本来なら彼らの写真を撮るだけで良いのだが……梨花の料理の酷さを体験したのか、合宿に参加するバスケ部員たちが、私に頭を下げて料理を作ってくれと言ってきたため、合宿中は配膳おばさんになることになった。
(流石に主将と宮地先輩に頭を下げられてはねえ……)
〈事件〉を傍観するのは気が引けたし、自分も梨花の料理の被害に遭いたくはなかったため、承諾したのだ。
「さて……」
私は今、一気に2キロ炊ける炊飯器の前にいた。さらにもう一つの炊飯器であと1キロ炊いた。どちらのお米も炊き終わっていた。私はこのお米でみんなのお昼ご飯、おにぎりを作るつもりだ。
たくさん炊いたが、食べ盛り男の子で、しかも運動をして腹ペコの状態の彼らには、この量では足りないかもしれない。とはいえ、私にも限界があるため、多少みんなには我慢してもらう。夕飯も大量に作らないといけないし。
「はあ……作るか……」
やはり気は進まなかったが、もうどうしようもないので、私は一つずつおにぎりを握りだした。
「終わった……」
宿へ来てすぐ米を炊いて、おにぎりを作ったが、さすがに約20人分を作るのには、結構時間がかかってしまった。まったく、骨の折れる作業だったわ。
しかし、もうお昼時のため、私は休む暇もなく、出来上がったおにぎりたちを大きなお盆に乗せてラップをし、彼らが練習する体育館へと運び出した。
ちらりと体育館を覗くと、まだ練習していた。
(間に合ったか……)
少し安心するが、まだあと二つか三つ、おにぎりの乗ったお盆を持ってこなきゃいけないため、急いで宿へ戻って往復した。
全て運び終わってから「お昼ごはんです。みんなで食べてください」と書き置きのメモを残し、私は部屋へ戻った。
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年4月22日 14時