5 ページ5
「ただいま」
「おかえりなさい」
入学式ということで、今日は午前中には帰宅できた。ただいま、と声をかけると、いつものように母の返事が返ってくる。そして、すぐに母は、「梨花は一緒じゃないの?」と私に尋ねる。
「……うん」
私は小さく頷きながら、母に返事をし、自室に向かった。
「ただいまー!」
自室で数時間、のんびり過ごしていると、勢いよくドアが開く音と、ただいまという元気な声が聞こえた。妹、梨花の帰還である。
「おかえりなさい、梨花。遅かったわね」
母はすぐに妹に返事をした。廊下に顔を出して直接妹と話しているのか、2人の会話は、階段近くの2階の私の部屋まで丸聞こえだ。
「うん!なんか今日からもう部活が見学できるみたいで、友達と見てきたら、遅くなっちゃった!」
「そう!もうお友達できたのね!」
「うん!」
(はあ……元気なこと)
2階まで響く妹の声に感心……というよりも呆れつつ、私は学校でもらったパンフレットを開いた。
秀徳には、高校一年生の間は必ずどこかの部活に所属していなければならないという校則がある。そのため、実は私もどの部活に入部するのか決めておかなければならない。
しかし、先輩のビラ配り(学校出ようとしたら襲われた)が恐ろしすぎて、全力で無視して帰ってきたため、どんな部活があるのかイマイチわかっていなかった。
ペラペラと軽くパンフレットを捲っていると、突然部屋の扉が全開になった。
「ただいま、お姉ちゃん!」
「おかえり」
元気な妹に対して、冷静に反応する私。
「お姉ちゃんはもう友達できた?」
「いや。嫌いな人はできたけど」
「えーなにそれー!私はねー、右隣の男の子と連絡先交換して、部活見学も一緒にしてきちゃった!」
「ふーん」
社交的な妹に対して、内向的な私。
「その男の子、高尾和成くんって言うんだけど、バスケ部に入るんだって!一緒に見学してきて、楽しそうだったから私、バスケ部のマネージャーやろうかなぁって!」
「へー」
つくづく思う。
どうして私たちは一卵性の双子なのに、ここまで性格が違うのだろうか。
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年4月22日 14時