【黒子のバスケ】占い嫌いと占い信者【緑間真太郎】 (ページ38)

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長い1日だった。試合を見ているだけで疲れてしまい、颯爽と帰りたかったが、母から梨花と一緒に帰ってくるよう言われたため、それはできなかった。

私はエントランスのベンチに座っていた。梨花がなかなか来ないため、待っているのだ。

(どうせ、泣いてるんだろうな……)

泣きじゃくる妹を想像して、私は呆れてため息をついた。

「ひっく……おっ、おねえっちゃんっ……！」

ようやく来たかと思ったら、梨花の顔は鼻水と涙でぐしゃぐしゃになっていた。ジャージで涙を拭いたのか、袖あたりが変色していた。

「はぁ……どれだけ待たせるのよ」

「ご、ごめんっ……でもっ……うぅう！」

すでに涙腺は緩みきっているのか、また目にいっぱい涙を浮かべた。

「泣きすぎ」

「だ、だってぇ！……ふぇーん！！」

まるで赤ちゃんのように大声で泣き出す。恥ずかしいからやめて欲しい。

「アンタが泣いてどうすんのよ」

「…っみんな、っがんばって、きたっもん……なのにっ……」

「もうやめて」

また泣き叫びそうになる梨花の口を、無理やり抑える。

「んー！！！」

苦しそうにする妹。私はすぐに離して彼女にこう言った。

「……1番間近で頑張ってる姿を見てきたアンタには、これ以上なく悔しいかもしれないけど、あの会場にいた選手で、頑張っていない人なんていないでしょ。
泣いたって負けた事実は変わらない。だから、アンタがすべきなのは、結果を引きずって泣くことじゃなくて、次に彼らが試合で負けないように全力で応援してサポートすることでしょ」

そういって妹の頭を撫でて、抱きしめる。

「お姉ちゃん……うんっ！」

私の話を聞いて、少しはマシになったのか、梨花はギューッと私を強く抱きしめ返した。ちょっと息が苦しい。

(まったく……今日だけだからね)

その日、私は姉として、妹が泣き止むまで慰めてあげたのだった。