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「その……助けてくれて、ありがとう……」
私は勇気を出して、そう伝える。面と向かって言うのは恥ずかしいため、目を逸らしながらとなってしまったが。
「全くなのだよ。前回といい、今回といい……。だが今日は多めに見てやる」
「なんで？」
「おは朝占いで、蟹座は今日人助けをすると吉、と言っていたからなのだよ。おかげで今日も人事を尽くせた」
「は？」
思わず耳を疑う。同時に、先ほどまでのドキドキが一気に消え、苛立ちに変わっていくのがわかった。いや、彼を一瞬でも優しいと思った、私が馬鹿だった。自分が恥ずかしくて、それにも腹が立ってきた。
「いつも占いを信じないと言っているが、今日、魚座のお前は、占いの結果通りだったではないか」
「はぁ？？」
「素っ頓狂な顔をしてどうしたのだよ。今日の魚座は11位だった。結果は、思わぬトラブルに巻き込まれるかも、であった。どうだ、当たっているだろう」
ドヤ顔をして眼鏡をクイッとする緑間くん。マジでイラつく。
「偶然に決まってるでしょうが」
「あながちそうでもない。お前は今日、魚座のラッキーアイテムである腕時計を忘れたのだよ」
「誰だって忘れ物ぐらいしますけど」
先ほどまでが嘘のように、私たちの雰囲気は最悪となった。緑間くんも緑間くんで、私が占い嫌いなのを知っているはずなのに、何故いまだにその話を持ち出すのだろう。
結局その日、私たちはいつも通り険悪ムードになり、お別れした。
翌日、体調も回復して、異常はなかったため、いつも通り登校した。教室へいくと、もうすでに緑間くんが着席していた。昨日のことを思い出して少しイラつきながら私も着席した。
無言でテスト直前の復習の準備をしていると、珍しく緑間くんが話しかけてきた。
「……おはよう」
「……おはよう」
「もう大丈夫なのか」
「おかげさまで」
「そうか」
互いに目を合わせず、言葉だけ交わす。私は最後に小さな声で、彼にこういった。
「…………ありがと」
聞こえたのかどうか分からないが、視界の端の緑が少しだけ揺れたのが分かった。
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作者名：ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時：2022年4月22日 14時
