【黒子のバスケ】占い嫌いと占い信者【緑間真太郎】 (ページ32)

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携帯と財布を持って、3人でもう一度教室を出る。

「やっぱ廊下はあっちーな」

「そうだね……お姉ちゃん、大丈夫かな……」

梨花ちゃんの声が少しだけ震えていたような気がした。確かに、連絡取れないし、不安だよな。

「とりあえず、職員室へ向かうのだよ。もしかしたら先生に質問をしているだけなのかもしれない」

真ちゃんがそう言う。でも、教科書やノートはAちゃんの机の上にあったし、正直その可能性は低かった。梨花ちゃんを安心させるための優しい嘘と、何か問題が起きていたら先生がいつでも出動できるようにというのがあるのかもしれない。

「そうだな。じゃ、行こうぜ」

「うん……」

俺たちがそう言って職員室へ向かおうとすると、「は、橋本さん？！な、なんで……」と慌てた声が聞こえた。

3人で振り返ると、眼鏡をかけた大人しげな女子生徒がいた。彼女は梨花ちゃんを見て、ものすごく驚いていた。というか、震えていた。

「梨花ちゃん、知ってんの、この子のこと」

「ううん、知らない……」

梨花ちゃんに小声で耳打ちする。そのあと、もう一度彼女を見ると、尋常じゃなく怯えていた。

「た、助けてもらえたんですか……？よ、よかった……。私、3人があんな事するなんて、思ってなくて……ごめんなさい……」

半泣きでそういう彼女。
助けてもらえた？
梨花ちゃんは彼女のことを知らないと言ってるし、何より俺たちとずっと一緒にいた。

おかしい。何かが、おかしい。

訳がわからず混乱していると、俺の横にいた真ちゃんがその子の目の前へ行き、肩を掴んだ。

「橋本に何をしたのだよ」

そして、彼女に問いただす。俺たちはそれを黙って見ていた。

「な、何って……お二人は閉じ込められた橋本さんを助けたんじゃないんですか……？」

「閉じ込められた？！」

俺は耳を疑い、叫んだ。

「橋本はどこにいるのだよ、すぐに教えるのだよ！」

真ちゃんが珍しく声を荒げて聞いた。

「え？えっと……ち、地学準備室です……」

その言葉を聞き、真ちゃんは走り出した。

「ちょ、真ちゃん、待てって！」

俺は引き留めようとするも、よほど真剣なのか、俺の制止する声も聞こえていない様子だった。

「はあ、ったく……。ほら、立てって」

俺は真ちゃんに気圧されて崩れ落ちた彼女に手を差し伸べた。そして、彼女に事情を聞き、それから職員室の先生へ報告することにしたのだった。