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彼女について行くと、来たことのない教室に着いた。教室に埃が被っているようなので、今はあまり使われていない教室なのだと察した。なんて、悠々としていると、派手な3人の女子生徒の前に連れてこられていた。
「こんにちは、橋本チャン」
「……こんにちは。誰ですか?」
3人は勝ち誇ったように笑っていたが、私にはどういう状況なのか全く分からなかった。とりあえず分かったのは、私をここまで連れてきた女子生徒は、この派手な女たちにこき使われているということだった。
「んー?教えてアゲナーイ。チクられたら困るしー」
リーダーなのか、真ん中の女が甘ったるい、間延びする声で言う。香水がかなりキツく、目を顰(しか)める。
「……用件は?」
さっさと終わらせて教室に帰りたい。というか、このクサイ女達から離れたかった。
「端的に言えば、橋本チャンがウザイんだよねー。バスケ部のマネージャーだか、なんだか知らないけど、男とイチャつきすぎてムカつくんだわ」
(あぁ、またか……)
ここでようやく状況が掴めた。まず、彼女たちは、前の宮地先輩のように、梨花と私を勘違いしていること。梨花は彼女達の恨みを買ったこと。そして、彼女達は梨花だと思い込んでいる私に、何かしようとしていること。
「それで何がしたいんですか?」
自分でも驚くほど冷静だった。いや、梨花と間違えている彼女達に呆れていたのかもしれない。というか、私を見ても梨花じゃないと気付かないってことは、そんなに梨花に対して恨みはないのでは。ただ誰かに当たりたいだけでは?
そう考えると、怒りも何も湧き上がらなかった。
「何って……オシオキ♡?」
首を傾げてぶりっ子しながらリーダー格の彼女がそういうと、脇の2人と私をここまで連れてきた子が私を掴んだ。
「え、なに」
そしてそのまま引きずられ、準備室のような狭い部屋へ押し込まれた。出ようとするも、脚とお腹を蹴られて、怯んでしまった。その隙に扉が閉められ、鍵の閉まる音もした。
「あ……」
終わった。
「反省してな!安心しなよ、誰も助けにっていうか、ここに来ないから!アハハ!」
すぐに甲高い笑い声が聞こえてきた。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年4月22日 14時