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自習を始めると、意外にも高尾くんと梨花は静かにしていた。緑間くんもまぁ予想通り1人で勉強をしていた。
私は先生に質問する箇所をまとめていた。邪魔が入らなかったので、非常に有意義な時間だった。
自習を始めてから1時間ほど経ち、集中が途切れ始める頃だった。
「そいやー腹減ったなぁ。昼メシどうする?」
高尾くんがお腹をさすって問いかける。
「あーどうしよう。お弁当ないし、購買もお休みだし、コンビニで買うしかないかなー」
梨花はそう言って伸びをする。2人の集中が完全に切れたのがわかった。
「コンビニ行くかぁ。真ちゃんはどうする?」
高尾くんが頭の後ろで腕を組み、緑間くんに尋ねた。
「俺も質問がまとまっていないから残るのだよ。昼食くらいならコンビニで構わない」
「緑間くんも行くのね!お姉ちゃんは?」
「私はお弁当作ってきた。行くなら三人で行ってきて」
緑間くんはさすがに昼食前には帰ると思っていたから意外だった。まあ、いてもいなくても関係ないけど。……嘘、帰ってほしい。
「りょーかい。んじゃ、3人で行くか、コンビニ」
「うん!」
「さっさと行くのだよ。時間が惜しい」
「分かってるってー」
コンビニへ行くと決まった3人が準備を始める。
「貴重品の管理は自分でね。お手洗いとかで教室出てくかもしれないし、責任取れないからよろしく」
私はそんな3人に警告する。3人分の荷物を管理するなんて嫌だ。
「ほーい。じゃ、行ってくるわ」
「行ってきまーす!」
「……行ってくるのだよ」
3人は荷物を整理してコンビニへと向かった。コンビニまで歩いて十数分と少しだけ遠い。もう6月の下旬。外はそれなりに暑いため、油断していると熱中症になるかもしれない。
「ふぅー」
私はようやく心を落ち着かせられた。大きくため息をついて少しだらける。正直な話、まだお腹は空いておらず、昼食を食べる気分ではなかった。集中力も切れてしまったため、お手洗いへ行って切り替えることにした。
「あ、あの!」
「ん?」
廊下へ出ると、見知らぬ女子生徒に話しかけられた。俯いているため、顔は見えない。
「は、橋本さん……ですか?」
ワナワナしながらそう聞いてくる彼女。
「そうですけど」
何か用だろうかと不思議に思っていると「少し、お時間いただけますか?」と聞かれ、特に困ることはないと思い、「はい」と答えていた。
しかし、私はこの選択を後悔する。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年4月22日 14時