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先ほどよりも密かに見つめていたつもりだったのだが、彼の感は鋭く、少しだけ怒りの籠もった声で私に話しかけてきた。
「さっきから何なのだよ」
同い年とは思えない圧だった。身長が高いようで座高も高く、私は彼に見下ろされ、若干気圧されてしまう。
「え、いや、広辞苑が気になって」
「……これか？これは今日のおは朝占いのラッキーアイテムなのだよ」
彼から眉間のシワが少し消えたと思ったら、聞き覚えのある単語が聞こえてきて、拍子抜けした。
「は？おは朝占い？」
というかむしろ今度は、私の眉間にシワがよる番だった。
「知っているのか？」
少しだけピクリと反応し、彼は顔をこちらに向けた。
「……まあ。一応毎朝見てるよ」
「そうなのか？」
すると、彼の表情が本当にほんの少しだけ、明るくなったのがわかった。逆に私の気分はだんだん下がっていく。
「うん。でも興味あるのはお母さんと妹。私は興味ないから、聞こえてくるなあレベル」
「何故なのだよ」
相当な信者なのか、私がおは朝占いに興味がないと聞くと、一気に彼の表情が変わった。でも、先ほどとは違って私は気圧されなかった。私にも、譲れないものがあるからだ。
「私、占いとか嫌いだから」
彼の目を見つめて、はっきりとそういう。すると、これ以上話しても無駄だと思ったのか、隣の彼は私から顔を逸らし、鞄から本を取り出して読み始めた。
それ以降、誘導の先生が来るまで特に会話はせず、私たちは入学式が執り行われる体育館へと向かった。
滞りなく入学式が終了し、新しい担任の先生からの連絡事項も聞き終えた。そのため、現在はクラスの皆と、名簿順に自己紹介をしている。
「よろしくお願いします」
前の席の人が礼をすると、クラスメイトと担任の拍手が始まる。
(次か……)
私は拍手が終わるタイミングを見計らい、みんなと同じように起立して、自己紹介を始めた。
「初めまして。橋本Aです。好きな食べ物は納豆。嫌いなものは占いです。1年間、よろしくお願いします」
お辞儀をすると、同じように拍手に包まれる。周りにバレないよう、頭を下げながら左側をチラリと見やる。案の定、緑髪の彼は拍手をしていなかった。
(嫌いなものは嫌いだし)
そう頭で考えながら着席して、自己紹介を終えた。
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作者名：ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時：2022年4月22日 14時
