【黒子のバスケ】占い嫌いと占い信者【緑間真太郎】 (ページ18)

今日:34 hit、昨日:34 hit、合計:15,069 hit

18 ページ18

溢れてきた水は、次から次へと止めどなく流れ出してきた。それはまるで、捻った蛇口のように。
緑間くんに見られたくない思いで、必死に手で涙を拭うが、溢れ出すスピードに追いつかず、ただ泣き顔を彼に晒すだけとなった。

「……出てって。私っ、1限、休む。……緑間くん、っ遅刻しちゃうよ……」

しゃくりを我慢して、なんとか伝える。そして、私はこれ以上泣き顔を見られないように、すぐにベッドに潜りこんだ。そして、頭まで布団をかぶって、極力泣き声が外に聞こえないようにした。

(私も、怖かったのに……。私だけ、なんで……)

怖い。悔しい。悲しい。再びさまざまな感情が自分の中で交錯する。

(せっかく授業出ようって意気込んでたのに……
緑間くんのせいだ……)

なんてことも考えだしていた。

しかし、私たちのやり取りはそれでは終わらなかった。否、緑間くんが終わらせなかった。

「占いは、聞き入れるだけではダメなのだよ。自分もまた、日頃からよい運勢を引き寄せるように努めるべきなのだよ」

私は一度泣くのを我慢し、くぐもって聞き取りづらい彼の話を、しっかり聞くようにした。

「人事を尽くして天命を待つ。これは俺の座右の銘なのだよ。人事を尽くせば天はいつか味方をしてくれる。逆に言えば、人事を尽くさない人間には、救いの手は差し伸べられないのだよ。ラッキーアイテムは、いわば尽くすべき人事であるがゆえに、俺は毎日必ずラッキーアイテムを持ち歩くようにしているのだよ。
だから、お前が救われたいと思うのなら、占いの結果を信じたいのならば、

ーーーお前も人事を尽くすべきなのだよ」

「……」

私は彼の言葉を黙って聞いた。たしかに、その通りかもしれない、と思った。信じる信じないは置いておいて、私も梨花と同様に、先輩に不当な扱いを受けたのに、私だけ宮地先輩に謝罪をもらっていないことを、表明していない自分にも非があったのかもしれない。

先輩の様子からして、時には「決めつけ」で動き、強気で行くという性格だろう。内省も、きっかけがなければしないであろう。

(私が、言うべきなのかな……でも、ことの発端はあの先輩なのに、なぜ私から？)

考えれば考えるほど先輩への苛立ちは増すばかりであったため、私は一度考えることを放棄して、頭と体、そして心を休めた。