生きる伝説、烏野に来た。

ローカルニュース ページ36

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「つ、疲れたぁ……」
「お疲れ様、Aちゃん。初めてベンチに入ったから疲れちゃったよね」
「え！ あ、勿論それもそうなんですけど……」
「……？」


一、二回戦共に勝ち進んだ私達はバスで烏野まで帰ってきた。一日居なかっただけなのに試合の後だとこうも懐かしく感じるのは何でだろう。明日はついにお、及川…さん…(名前を呼ぶのも恐怖)率いる青城との試合。ここが難所。

マネージャーとして試合を見ているだけでも疲れてしまうのに、試合が終わった後にあんな事に巻き込まれた(・・・・・・・・・・・)から尚更疲れてしまった。後はミーティングをして終わりだから頑張ろう。自分に喝を入れて歩いていたとき、教務室の窓から教師が一人、「バレー部がテレビに映ってますよーっ」と私達に向かって呼びかけてきた。

……あ、やばい。嫌な予感。

翔陽達が嬉々として走り出したのを追いかけ、全員でテレビに食いつく。ちなみに、テレビと言ってもローカルニュースだった。ニュース内容は特に及川さん関連の話がピックアップされていた。女子の歓声を浴びる及川さんに腹を立てた田中さんとノヤっさんがテレビ越しの及川さんにメンチを切る。

そして烏野と伊達工の試合についての話題に切り替わった。皆が前のめりになってテレビに釘漬けになるが私は嫌な予感しかせず、画面から目をそらす。
ーーそして、その嫌な予感は的中する。

烏野が映ると思われた瞬間、画面に映し出されたのはまたもや及川さん。しかも「全力で当たって砕けてほしいですネ！」との煽り言葉付きで。
ここで田中さん達の怒りが爆発する…と、思われたそのとき。再び画面が切り替わり、テロップに『伝説、再来!?』という文字。


『貴方があの“生きる伝説”と呼ばれた荒井A選手で間違いないですよね!?』

「は……はい!」

「「……ん？？」」


現れたのは、私だった。
全員の視線が私に向けられる。が、画面の中の私は止まらない。


『なぜ今、烏野高校でマネージャーをされているのですか？ 貴女の活躍に期待する者も多かったはずですが……』

「烏野に来たのは偶然で……。でも…烏野のバレー部でマネージャーをすると決めたのは、自分の意思です！ 何でって言われると答えにくいですね」

『では明日の青城戦での意気込みは！』


ーープツンッ
私の答えが流れる前に消えた画面。消したのは、私だった。どうしても、この人達にはこの先の言葉を聞かれたくないと思ってしまったのだ。

誤魔化し→←ブロックの鬼、伊達工！

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