牛島若利 ページ26
.
私が牛島さんと初めて会ったのが…えーと、2年前の全日本女子ユース合宿に招集されたとき。当時のユースは男女共に同期間で合宿を執り行われることが多かった。右も左も分からなくて、周りはほとんど月バリで見かけるような高校生ばかり。中学生は私だけだった。
また当時、この合宿“名物”の練習があった。
ーー……男女混合のエキシビションマッチ。普段の練習から男女共に練習させることも少なくなかったが、当時はバレーボールの男女の垣根を越えたいだとかよく分からないことを言って、市民体育館などで一般公開可の試合をしていた。
そこで初めて、牛島さんを見た。当時の牛島さんは高校1年。あの月バリに載っている牛島さんよりももう少し若々しい頃の牛島さん。
普段の練習の時から牛島さんのスパイクフォームとスパイクの威力に凄いなぁと舌を巻いていたのに、そのエキシビションマッチのせいでよりにもよって私は牛島さんと対戦することに。
あれはしんどかった。本当に。マジで。
男子と混ざって試合できるのは楽しいんだけど、牛島さんが分かりやすいくらいに試合中に私を狙ってくるのだ。……“お前だけは倒したい”と言わんばかりの目付きで。
最初は「嫌われているのかもしれない」と思っていた。でも実際、牛島さんがそんな視線を向けてくるのは試合中だけでそれ以外の練習の時やご飯を食べたりする時は普通に話してくれたので、別に嫌われているわけではないんだと分かった。だから牛島さんは試合中の私を敵対しているんだと思う。
中3の時はもう春からバレーを辞める気満々だったからユース合宿のお誘いも断ったけど、牛島さんもきっといたんだろうな。
丁度、その時期くらいから男女混合の練習や一般公開可のエキシビションマッチなんかは無くなったそうだけど。
私は牛島さんのプレーが好きだ。高くて、強くて、王者って感じがするから。私には無いものを持っていて、酷く憧れるんだ。
……だからこそ、負けたくないと思ってた。
翔陽は私に似てる。だから青城との試合の時もなんとなくバレーを始めたばかりの頃の自分を重ねてしまってつい、昔よくやっていたプレーをするようにと言ってしまった。まさかそれが及川さんの琴線に触れるとは思ってなかったけどね……。
バレー向いてないかもよ、と言われた時もあった。それでも牛島さんが「好きだ」と言ってくれた私のバレーボールを諦めたくは無かったんだ。
今ではもう、昔の話だけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 979人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
( ･´ｰ･｀)どやｗ - 佐藤久美子って、名探偵コ◯ンの佐藤刑事みたいですネｗｗ 返信不要です (2022年7月2日 13時) (
レス) @page19 id: 4e2cb1d965 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - キースさん» コメントありがとうございます！私も思い切り夢主ちゃんのテンションぶち上げで書いてます！笑 ここまで書いてて楽しい夢主ちゃんは私も初めてです！ これからも頑張ります！ (2021年4月24日 15時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
キース - 凄い面白かったです！夢主ちゃんのテンション、読んでて楽しくなる…これから夢主ちゃんがどうなるのか楽しみです(o^^o)これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年4月24日 6時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます！そう言って貰えて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2021年4月24日 2時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - めっちゃ面白いです！ めっちゃ大好きです！ 応援してます! (2021年4月23日 22時) (レス) id: ca2d9f3fc4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
