生きる伝説、烏野に来た。

身バレ ページ22

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「……えっ、あの、は……！？ い、いつから気づいて……！」
「繋心から紹介された時にはとっくに気づいていたさ。ただお前達があまりにも酷い隠し方をするもんだから、気付かないフリをさせてもらった」
「じゃあ私、佐藤久美子になる必要なかったんですね……」
「いや、そうとは限らん。実際うちの部員は君の正体に気付いていないからねぇ……。ま、うちのセッターは勘がいいから、気付くのも時間の問題かもしれんがね？」


猫又監督には最初から全てバレていた。離れた所で烏養さんが私達の方を見ていたから、バレました、という意味も込めて首を横に振ると、烏養さんは「やっぱダメか…」という表情で頭を搔く。

音駒は東京の高校だから、宮城と比べれば“生きる伝説”の知名度もある程度は高い。男子側にまで伝わっているかは分からないけど、宮城の男バレである菅原さん達でさえ聞き覚えがあるくらいだったのだから油断はできないし。実際こうして猫又監督にはバレてしまった。どうしたら上手く隠せるんだろうなぁ……。

うーん、と悩んでいると、それが分かりやすかったのか猫又監督は小さく笑いを零す。


「ーー“佐藤さん”。君は君が思っているよりもバレー界に与えた影響は大きい。君に感化されてバレーを始めた者もいる。逆もまた然り。……これは純粋な問いかけだが、なぜ君は宮城でマネージャーをしているのだ？」

「……そうやって改めて聞かれると、答えるのは難しいですね。特にこれ！と言った理由も無いかもです。ただ、バレーをプレーする側を辞めたくなったっていうか……？」

「君からしたら耳にタコができるくらい言われた事かもしれんが、君の攻撃力や機動力もそうだが個人的には特に、レシーブ力に一目置いていたんだが……残念じゃ。ここはどうだ、烏野じゃなくて音駒に来るって言うのは！」

「丁重にお断りさせて頂きますッ！」

「ハッハッハー！ だろうな！」


猫又監督との会話を終えた頃にはほとんどの片付けが終わっていて、ほぼ何もしていなかった私は少しだけ居心地が悪い。ふと、澤村さんの方を見ると心配そうな面持ちでこちらの様子を伺っていた。烏養さんと似たようなことするなぁ。まるで父親みたいな行動に、私は少しだけ笑ってしまった。

「Aー！」
「あ、翔陽！」
「紹介したい人がいるんだ！ こっちが音駒のセッターの研磨！」

翔陽が駆け寄ってきたと思えば、彼の右手に掴まれ引っ張られるようにして連れてこられている人がいた。

頭脳明晰、研磨君！→←護りの音駒

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