叱られ……ない? ページ13
.
「えぇぇ……生きる伝説ってめっちゃカッケーじゃんか〜!」
「生きる伝説はなんか違うの! 私だって“コート上の王様”みたいな孤高の強さを持ってます、みたいな異名欲しかったぁぁあ!」
「おい、王様って呼ぶんじゃねぇ!!」
「誰も飛雄の事は呼んでないって」
翔陽と飛雄に両サイドからギャンギャン叫ばれる。変な対抗心が生まれて、私も二人には負けられないと思い大声を出しているので部室内はどんちゃん騒ぎと化していた。
すると目の前に立つ澤村さんからチクチクと突き刺さるような視線が飛んでくる。どうやら二人もその視線に気づいたらしく、三人同時に口を閉じ、ビシッと姿勢を正す。
「人の話は最後まで聞こうな?」
「「はいッ!」」
「はぁ……荒井」
「な、なんでしょうか!」
澤村さんはため息をついた後に私の名前を呼んだ。私はついに叱られる……!と思い、自然と力んでしまう。傍から見たら面白いくらいプルプルと震えていることだろう。現に今、澤村さんの後ろにいるツッキーがニヤニヤとしながら私達を見ているから。後で覚えてろよツッキー……。
ーーが、しかし。なぜかいつまでたっても澤村さんの怒声はとんでこない。
あれ?と不思議に思い、顔を上げて澤村さんを見上げると、澤村さんはなぜか口元を手で押さえて笑いを堪える表情をしていた。
「いやぁ、怖がらせてごめんな。あまりにもプルプルしてたから面白くてつい…な?」
「おっ、怒ってないんですか!?」
「全然怒ってないよ。俺はただ本当にどういうことなのか教えて欲しかっただけだからな」
「……助かったぁぁぁ!」
「ハハッ、ホントごめんな! そんなに怖がるなんて思ってなかったよ」
表情がガラッと変わり、いつもの優しい笑顔を浮かべている澤村さん。私は怒られなくて済むということに安堵し、全身から力が抜けていった。よっぽど怖がっているのが分かりやすかったらしい。
澤村さんはしゃがみこんで私と同じ目線にくると、ぽんっと優しく私の頭に手を置く。
「でもこういうことは先に説明して貰いたかったかな。現に今日の及川みたいなこともあったわけだし。混乱しちゃうからさ」
「はい、すみませんでした!」
「良いんだ、別に荒井が悪い事した訳じゃない」
「あの……皆さんにお願いがあるんですけど、烏野以外の学校には私が荒井Aだって知られないようにしたいんです」
私がおずおずとそうお願いすると、皆は「任せろよ!」と言って、笑顔で頷いてくれた。
979人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
( ・´ー・`)どやw - 佐藤久美子って、名探偵コ◯ンの佐藤刑事みたいですネww 返信不要です (2022年7月2日 13時) (レス) @page19 id: 4e2cb1d965 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - キースさん» コメントありがとうございます!私も思い切り夢主ちゃんのテンションぶち上げで書いてます!笑 ここまで書いてて楽しい夢主ちゃんは私も初めてです! これからも頑張ります! (2021年4月24日 15時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
キース - 凄い面白かったです!夢主ちゃんのテンション、読んでて楽しくなる…これから夢主ちゃんがどうなるのか楽しみです(o^^o)これからも頑張ってください!応援してます! (2021年4月24日 6時) (レス) id: f19164db3a (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2021年4月24日 2時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - めっちゃ面白いです! めっちゃ大好きです! 応援してます! (2021年4月23日 22時) (レス) id: ca2d9f3fc4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ