CHAPTER １ー３ ページ3
トリガーである直人君の手を握ったことで無くなった意識が、少しずつ戻ってくる。このふわふわとした言葉では形容しにくい変な感じから、タイムリープは成功したとみても間違いないだろう。疑っていた訳ではないけれど、まさか本当に自分が過去の世界に戻れるなんて。
＿＿目を開ければ12年前の世界……なんだよね。
12年前と言えば、私はまだ13歳くらいか。私が万次郎と初めて出会ったのは高校に上がってからだから、この時の私はまだ万次郎に出会ってない頃の私だ。
私は万次郎よりも二つ年下で、本来であれば私と万次郎が関わる機会なんてあるはずが無かった。しかし私が高1になったとき、その地元で調子に乗っていた不良に、下校途中に絡まれてしまったことがある。渡せるお金など無くて、金がねえなら体でな、なんて変態じみた発言をかましてきたその人達の汚い手から逃れるように身を縮めていたとき、万次郎はまるでヒーローのように現れた。
『＿＿テメェら、女相手に何してんの？』
光の無い、そこが見えない真っ黒な瞳。私に絡んできた不良達よりも遥かに小柄なのに、不良達は万次郎の姿を見るなり血相を変えて、我先にとその場から逃げ出した。万次郎は、身を縮ませて呆然と彼を見上げている私の姿を視界に捉えると、ゆっくりしゃがみこんで私に目線を合わせ、不器用に私の頭を撫でる。何もされなかったという安堵から私が泣き出してしまうと、万次郎はなぜか、酷く泣きそうな表情を浮かべて、私の体を覆い隠すように抱き締めたのだ。
今思えば、そのときの万次郎の視線は、まるで私に“誰かの面影”を重ね合わせていたのかもしれない。
そして、その人物は恐らく彼の妹＿＿エマちゃんだと思う。万次郎が一度だけ、エマちゃんの事を話してくれた時があった。
『エマは気が強くて、料理が上手くて、明るくて、……こんな俺を支えてくれてたんだ』
過去形だったその言葉と、今にも万次郎の中で何かが崩れ落ちてしまいそうな様子に、それ以上は何も聞けなかったけれど。
だけど間違いなく初めて会ったあのとき、万次郎は私にエマちゃんの面影を重ねていた。そしてエマちゃんに会ってみたいという私の望みも、結局叶うことなく万次郎も死んでしまった。
……だから、万次郎の妹であるエマちゃんも万次郎も、必ず救ってみせる。
覚悟を決めて瞼を開いたとき、真っ先に視界に飛び込んできたのは、私が小6の時に病気で亡くなったハズの、母親の怒った顔だった。
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しらす(｡∀゜)(プロフ) - えっっっぐい程面白いです！！！てか最初の赤音さんの救出で既にどハマりしました！！！好きです！！！大好きです！！！多分これから1週間位ずっと読んで読んで読みまくると思います！！！えマジで神作すぎて！！！大好きです！！応援してます！！！！ (2021年8月26日 16時) (
レス) id: 0ada0a2373 (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - まさん» 初めまして！！タイトルに関してはかなり悩んだのでそう言って貰えて光栄です！！！これからも応援よろしくお願いします！ (2021年8月21日 11時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！秀逸なタイトル回収にゾクゾクした勢いでコメント書かせてもらっています！続きが楽しみです。応援しています。 (2021年8月16日 19時) (レス) id: 462628ff0d (このIDを非表示/違反報告)
納豆巻き(プロフ) - アンズさん» そのように言って頂けるなんて光栄です！！！(；ω；) (2021年7月31日 16時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
アンズ(プロフ) - 夢文化が廃れてくなかでこんな神作に出会えるとは…… (2021年7月31日 8時) (レス) id: af5bfd0de9 (このIDを非表示/違反報告)
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