6+∞でHiHi Jets Ⅶ (ページ30)

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『なぁ、お前女なの？』

｢…は？｣

部屋の端っこでストレッチしてたら影ができて、そのまま影の主だと思われる声がした。

私はそのままその影の主を見上げる。

｢…誰、君。｣

「まず俺の質問に答えろよ。」

仁王立ちしている明らかに私よりも年下の男の子。
私もまだ子供。
すごくムカついて立ち上がり、その子を見下ろす。

｢まず名乗るのは自分から、って知らないの？｣

思ってたよりも私の方が背が高くて威圧感からか声の主は少し顔を歪ませてから元木、湧。と名前を言った。

｢元木くん、ね。私は藍染A。｣

湧｢お前いくつだよ。｣

｢君より年上だと思うけど。中3。｣

年齢をいえば驚きを隠せていないような元木くん。
威勢ばかりに目がいってたけど、その後ろには元木くんよりも少し小さな男の子がいた。

私はそっちの子に目線を合わせて君は誰？と問いかけた。

颯｢内村颯太です。僕は小5。湧くんは小6です。｣

まだたどたどしさが残るその口調。
内村くんは元木くんにだからやめようって言ったじゃん、と話しかけた。

正直、この時の私はもう今後一切関わることがない。
そう思ってた。

この直後かな、振付師さんがリハーサルをすると集合をかけ立ち位置を割り振った。

私は最前列の中央にされ、いい意味でも悪い意味でも注目されるそんなポジション。

運悪く、真後ろにはさっきのふたり。

リハーサルでの合わせはとても簡単で。
私にはスっと振りが入ってくる。
それをアレンジなんて加えずにそのまま踊り、確認が終わる。
衣装に着替えるため、別室への移動がかけられた時だ。

リハーサル着を後ろから引っ張られて思わず倒れそうになる。

振り向けばいたのは元木くん。

｢…今度は何？｣

湧｢……。｣

｢話さなきゃわかんないんだけど。｣

湧｢……は、……い。｣

｢え？｣

湧｢さっきはごめんなさい！｣

元木くんはそれだけ言うと行くぞ、颯太！と内村くんの腕を引っ張りリハ室から出て行った。

呆気に取られる、って多分このことを言うんだ。

私は驚きをそのままに、衣装に着替えるため別室へ向かった。

その日以降の稽古の日。
毎度と言ってもいいほどふたりは私に話しかけてきて、次第に私も仲良くなった。

ダンスを教えたり、一緒にご飯へ行ったり。

年は違うけど全員が友達のようになっていった。

この時の私はまだ離れ離れになることも、グループが違うところになることも到底想像はつかなかったんだ。