. ページ6
_
｢普通に着いてきたけど無関係者入れねぇよな、これ。｣
｢平気平気。身分はしっかりしてるし、マネージャーさんにも連絡したし。｣
パスを片手に颯爽とひとつの建物に入って行く優斗の背中を眺めていた。
いいから行くよと腕をひかれ、入っていく厳重な施設。
エレベーターに乗り連れて行かれたのはひとつのスタジオみたいな部屋だった。
｢Aさん、そこで待ってて。すぐ着替えてくるから。｣
｢あ、ちょ、優斗？！｣
私はスタジオに1人残され、辺りを見回すこともせずぼーっと突っ立っていた。
ｶﾞﾁｬ
ドアが開く音がした。
｢おい、優斗。何勝手に……ってあれ。｣
振り向いたドア付近に立っていたのは優斗じゃなく、見知らぬ紫髪の男の子だった。
｢あんた、誰？部外者がなんでここにいんの？｣
明らか敵意剥き出しの目、そこから伝わる嫌悪。
やっべぇのに会っちゃったよ。
なんも言えず突っ立ってる私にズカズカ迫り来る紫髪。
身長はさほど変わらない気がするのに威圧感を感じる。
｢あ、ガリさん！今日早いじゃん。｣
｢おい、優斗。稽古場に知らねぇ女がいんだけど！｣
着替え終えた優斗がスタジオ、改め稽古場に戻ってきた。
ガリさんと呼ばれた紫髪の男の子。
優斗から聞いたことある名前。
確か……
｢語彙力お化け、最年少ながらローラーの才能の持ち主の子。｣
｢……は？｣
やば、声に出ちゃった。
｢Aさん、声出てる。｣
｢何、優斗の知り合い？｣
｢ガリさんにも話したことあるでしょ？大学で尊敬してる先輩のAさん。｣
｢……え？尊敬してる先輩って女なの？｣
私の知らないところで私の話をされていることは癪だけど、ここで下手に口を出しても無駄だと察した私は黙ることに徹した。
｢紹介しようと思ってたんだけどとりあえずみんな来てからにする。｣
優斗がそういうとガリさんと呼ばれる男の子は少し納得がいかない様子だったけど頷いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 381人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HiHiJets」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くれいじー。 | 作成日時：2020年4月23日 2時
