ネンレイのカベ (ページ50)

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｢待ちきれず光輝は先に来たと？｣

黒｢はい！それに俺、思い返してみればみんなよりAさんとちゃんと話したことないなって思って。｣

｢なんだ、可愛いかよ。｣

黒｢え、知らないんすか。俺って可愛いんすよ。｣

｢本当に犬みたいだよね。｣

黒｢よく言われます。いつもいる5人の中で年齢だけは1人だけ一番下だから可愛がられるのもありかなって。｣

｢そっかぁ、じゃあ私と5つ違うわけだ。｣

黒｢そうっすよ。年齢の差をいい意味で今まで感じなかったけど今日改めて年の差感じました。｣

｢なんで？｣

黒｢高校生の俺と大学生のAさんじゃ考え方ってやっぱかなり違うなぁって。｣

俺も早く大人になりてーっと呟く光輝。
私もこう思っていた時期があったなぁと過去を懐かしんでいた時、全員が揃った。

そこから一緒にお祭り忍者を踊り、熱が上がった私達はそこから色んな曲を踊りまくった。

今年の夏の思い出を問われることがあるならばきっとこの日を思い出すだろうな。
彼氏と別れ、弟のグループのメンバーと夜な夜な踊り狂う日なんてそうそう来ない。

年が離れていようが、今はスタッフとタレントの関係であろうが、こうして年齢の壁を感じさせないダンスというものは本当に出会えてよかった。

ダンスをしてたからこそ優斗の目に留まり、

ダンスをしてたからこそ事務所では振り落としを不在メンバーに行わせてもらえ、

ダンスをしてたからこそ心を通わすことが出来る人達ができた。

HiHi Jetsと動いていると部活の様で学校の先輩後輩感があるけど、少年忍者や美少年と動く時に薄々感じていた年齢の壁。

けど、今この瞬間だけは何も感じず楽しめる。

ジャニーさんが繋いでくれたこの縁はこの先も切らさずにいたい。
普通に高校を卒業して
普通に大学に入学をして
普通に就活をして
普通に就職する
普通に仕事して
普通に結婚をして
普通の家庭を築く

普通を求めて生きていた私。

ジャニーさんに出逢い、普通では経験できないことを経験している。

いつか言われた滝沢さんからの言葉、ジャニーさんの伝言である、エンターテインメントを届ける裏方として1人前に。

私はジャニーさんから頂いた課題をクリアする目標がある。

その言葉を聞いた時点で既に私は普通ではない世界へ足を踏み入れた。

こんな起伏の激しい4ヶ月は求めていた世界とは真逆の世界へ進むための第一歩にすぎず、次のステージへの扉は既に開き始めていたことに私は気付いていなかった。