ネンレイのカベ (ページ44)

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ホテルへ到着し、暫しの休憩時間。

私は雑誌撮影の打ち合わせに同席させてもらい、今後のスケジュール確認を行っていた。

その間も美少年とオリはYouTubeの撮影カメラが回る中、各々が自由に時間を過ごしていた。
そんな中、自由とは逆に追い込まれているメンバーが。
那須くんだ。

当初、岩崎くんがする予定だった英語のスピーチを那須くんがすることになり唯一時間に追われている。

大変そうだが何も手伝えない私は本番で使う衣装のチェックをするためクローゼットの中を整理していた。

｢Aさん…｣

｢どうしました？｣

私に声をかけてきたのは那須くんだった。

那｢英文、覚えるコツとかありますかね…？｣

｢覚えるコツ……｣

｢私はだけど、とりあえずは1回同じ文を口に出しながら手書きで写して、1文ずつ覚える…かな。あくまでも私のやり方で大学のテストの時使ってたことだから役に立つか分からないけど……｣

大学のテストで英文の暗記をすることがあったことを思い出し、どうやって覚えてたか思い出しそれをそのまま伝えた。

那須くんはなるほど！というとマネージャーさんから紙とペンを借りて実際に書出して暗記を再開していた。

マ｢安嶋はやっぱり現役大学生なりにあいつらへアドバイス出来るのが強みだよな。｣

｢力になれてるのでしょうか…｣

マ｢まぁ、確かに安嶋の仕事ってマネージャーというよりも振付師だったり、自分たちの先輩っていう感じだったりするかもしれないけどそれは安嶋の強みだと思う。｣

俺らにはできない事。それに安嶋だからこそだし、安嶋にしか出来ない事だよ、とマネージャーさんに言われる。

以前ジャニーさんにも言われた私にしかないものを彼らに分け与えること、というもの。

マネージャーはあくまでもマネージャー、そういう認識はマネージャーになってから必要なことであって今バイトという立場で様々な経験を積ませてもらっている立場の私には職種ってなんですか？って聞かれたら確かにこれといったものはない。

｢自分は自分で、自分にしか出来ないタレントを支えること……｣

人前に立つ彼らのサポートとして、自分の経験を生かせること。それはなんなのか、残りの学生期間で見つけなければいけないのかもしれない。