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稽古場に数分の沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは滝沢さんだった。
滝｢振り入れはどうだ？メンバーへの振り落としとか｣
｢佐藤くんと岩崎くんに関しては基本的に藤井くんが主に振り落としをしてくれていてどうしても都合がつかない時に私が振り落としをしていて、かなり形にはなってきています。ただ…｣
｢問題があるのはHiHiかもしれません。ローラーの振りは猪狩くんにしか出来ませんし、優斗に関してはドラマと並行して別仕事もありかなり難航しています。ローラーに関しては私も中々落とすことは出来ないので…。｣
滝｢そうか。Aはしっかり休んでるか？｣
｢私のことは気にしないでください。それこそ滝沢さんは……｣
滝｢俺は大人だからな。気にするな。｣
だけど気持ちは汲んでおくよ、と笑うと滝沢さんは次の仕事があると稽古場を出ていった。
時刻は20:00前。
これから仕事というのは恐らく事務業務。
最近寝ていなさそうだったからこそ心配にはなるが割り切ってしまえば私はただのバイト。
人の心配よりも与えられた仕事を全うする他ない。
頭ではわかっていても気持ちは追いつかない。
｢……っしゃ！残りもやるか。｣
今は余計なことを考えずに振り入れをする。
それが最大限の滝沢さんへ還元できることだ。
再び鏡に向き合い、振り入れを行っていた時だった。
稽古場のドアが再び開く。
今日は来客が多い日だ…。
ぱっと振り向いた先にいたのはドラマの撮影終わりで稽古場へ来たメンバーたちだった。
｢優斗、蒼弥、さくに佐藤くんと岩崎くん。ドラマ終わり？｣
優｢はい。俺らだけ遅れとるなんてこと出来ないんで…｣
岩｢藤井くんから話は聞いてます。いつもありがとうございます。すみません。｣
岩崎くんと佐藤くんに関して、私は直接会う機会が少なかった。だからこそ未だに違和感が流れる。
作｢Aさん、振りビデオありますか？｣
｢あるよ。とりあえず私も教えるから今から30分で全員とりあえず言うことやって。｣
｢まず、美 少年の2人は今から今日やった曲の振り落とし。ビデオ撮るなり方法はとって。その間に蒼弥はローラーの振りで後半固まってないとこがあったと思うから固めて。それが終わり次第HiHiの3人には別曲の振り落としをする。別曲の振り落としまでに優斗とさくはユニット曲の振りを合わせておいて。時間もったいないし高校生組もいるからさっさとやろう。｣
｢｢｢はい！｣｣｣
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作者名：くれいじー。 | 作成日時：2020年4月23日 2時
