別れ ページ35
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6月も後半。
クリエの単独が終わり、クリエ単独を行っていた4グループは夏のサマステへ向けリハーサルを重ねていた。
しかし、リハーサルは全員が揃っているのが当たり前ではない状況が多かった。
各グループから1人はドラマの撮影が入り、そちらも佳境に入っていた時期のリハーサル。
滝沢さんから振り分けられた私の仕事、それはそのメンバー達のために全グループの振りを入れろとの事だった。
ドラマ出演者は誰しもグループの要を担うメンバーが多かった。
今回のサマステの公式サポーターは昨年に引き続き美 少年とHiHi Jetsであり、そのふたグループと共にライブを盛り上げることになった少年忍者と7 MEN 侍。
ドラマ出演に関しては少年忍者から織山くん、7 MEN 侍からは中村くんとまだ少ない人数だからグループでどうにかなると言われているものの問題があるのは公式サポーターである美 少年とHiHi Jetsから複数名ドラマに出るということだ。
振り落としは1曲につき約2〜3時間。2時間足らずで振りを入れ、次の曲へ進むことが普通のJrの世界。
いくらダンス歴が長かったとはいえとても過酷で、正直レッスンだけでは頭に入れ切ることが出来ず動画を見ながら毎晩終電まで振り入れをしている日も既に1週間がたとうとしていた。
「……っす。きっつ。」
こんなことを秀や優斗はやってんのか。
凄すぎる。
自分の振りをビデオチェックしていた時、稽古場のドアが開いた。
滝「A。」
「滝沢さん。お疲れ様です。」
滝「悪いな、こんなことまで頼んで。顔も出せなくてすまない。」
「いえ。私に出来ることなら全部やると一番最初に伝えたはずです。」
滝「頼もしいバイトだ。」
滝沢さんは稽古場の一点を見つめながら物思いにふけていた。
それもそのはず。
先日、滝沢さんの師であり、この事務所所属タレントの父でもあるジャニーさんが倒れられて入院した。
この時の滝沢さんは仕事の合間をぬい、病院へ通う生活を続けていて休む暇などなかったのだ。
時間を見つけては私にまで気を使ってくれる滝沢さんには申し訳なさに頭が上がらない。
滝「ジャニーさんにも言われているんだ。」
滝「Aをちゃんと育てること、俺たちの会社に入らなくともエンターテインメントを届ける裏方として1人前にしろとな。」
「…とても貴重な経験をさせていただいてます。」
私はなんと声をかけたらいいのか分からなかった。
簡単に触れられないからこそ、下手に声を発することが出来ない。
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作者名:くれいじー。 | 作成日時:2020年4月23日 2時