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優斗 side
「井上くんってさ、何かに焦ってるの?」
優「え?」
Aさんから言われた。
「いやさ、なんか焦っているように感じたんだよね。」
そう言うとコーヒーを飲むAさん。
瑞稀くんが焦っているように見える、心当たりがないわけではない。
正直、Aさんのことをよく思っていなかった瑞稀くんが急にAさんの連絡先が欲しいと言ってきたのも引っかかっていた。
実際に瑞稀くんだけじゃなくて俺らHiHi Jetsは少し焦っている。
理由は美 少年のアメリカ進出。
先週、クリエ2日目に発表された美 少年の二世週日本祭に派遣するという話。
何故俺たちではなく美 少年なのか、俺たちは何故選ばれなかったのか。
クリエでの公演が差し迫る中、正直焦りも目立っている。
けど、Aさんに瑞稀くんが連絡をした時はまだ俺たちは何も知らなかったはずだ。
「優斗?」
優「あ、いや。すみません。」
「心当たりあるの?」
優「あることはあるんですけど、もしそれが理由だとしたら少しおかしいんですよね。」
俺は思っていたことを全て話した。
優「だから焦っているのかな、とは思うんですけどどうしても辻褄が合わないんですよ。」
「なるほどね…。まぁ、でも気にするだけ無駄じゃない?目的は分からないけど、そこに求めるものが美 少年であってHiHi Jetsではなかった。それは事実だから変えようが無い現実。けど、HiHi JetsにはHiHi Jetsにしかないものもある。」
今は原因を探すよりも伸ばすところを伸ばす時期、やることをやる時期だろ。
と当たり前のことを言われる始末。
「それにHiHi Jetsはクリエの公演があって、目の前にファンの方々と会う機会があるのに焦ってどうするの?その状況で最高のパフォーマンスができるの?」
優「そう言われると…」
「でしょ?なら今はやるべきことやらなきゃだめ。」
分かった?と言われてしまえば頷くしかない。
俺は瑞稀くんの焦り、そして自分たちのやるべき事、色々と悩みは尽きないモヤモヤとした気持ちは晴れないままリハへ向かわざるを得なかった。
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作者名:くれいじー。 | 作成日時:2020年4月23日 2時