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しーんとしてる
人間がこんなにいて
こんなに音がしないことがあるかね
ってくらい
誰も何も言葉を発しない
ときどき、ももちゃんのすすり泣く声だけが
この空間を
この現実を支配している気がして
「ねぇ、ウソでしょ？
これも追加のどっきりだよ、って
私にも言うつもり？」
思わずそう言いながら
ももちゃんよりも平野くんに近づいて
真正面から
平野くんを見据えた
「ごめんね？A」
言葉は謝ってるのに
全然その雰囲気が伝わってこないのは
どうしてなんだろう
しれっと冷静に
その場に合ったワードを
ただ口にしているように見える平野くんは
本当に私が
死ぬほど愛した人だろうか
「なんで下手したら
こんなことまでバレるかもしれないどっきり
仕掛けるなんて言ったの？」
「なかったことになった、って
そう思ってたからね
Aにも、ジンにも
だから普通に会えてた」
事が始まる前から
これは一生、誰にも内緒で
終わったあと
事実も、時間も何もかも
なかったことになるんだから
そう言われて始まったんだ、なんて
悪びれもなく
すました顔して
俺が言ったんじゃないよ？って
半笑いで付け加えてる
「そぉ？
それなら」
自分でも驚くくらい冷静だった
こうなった以上
自分に残された選択肢は
たった２つしかないというのに
「この出来事は
”なかった”ってことで」
パンっと
自分の胸の前で
両手を合わせると
しーんとした部屋に
私の手を合わせた音だけが
響き渡って
それと同時に
私の真正面に立ってた平野くんが
平野くんの目が
まん丸になったかと思うと
信じられない、って顔して
大きく見開かれる
「や、ちょっと待って
A、聞いてた？今の話」
「聞いてたよ？
誰よりも
きちんと聞いてたと思うけど？ｗ」
半笑い返し、みたいなことを
私にされて
いやいや、聞いてないじゃん！って
ますますパニくる平野くん
「ねぇ、Aちゃん
俺も同じ立場だから言うけど
俺はもう無理」
Aちゃんは本当に大丈夫なの？
この２人
俺たち全員をだましてたんだよ？
ジンくんが
ムリしなくていいんだよ？って
私に聞いてくるけど
「だって」
平野くんがこっちを見て
何言い出すんだ、って顔してたけど
「私もあるし
１回きり、ってやつ？」
今度は平野くんが絶句する番だった
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ゆの（KP）(プロフ) - りよさん» ありがとうございます、よかったらまたのぞいてやってください、他にもいろいろ書いてますんで (7月7日 21時) (
レス) id: 7ef6f46172 (このIDを非表示/違反報告)
りよ(プロフ) - はじめまして。裏は見れそうにないので、こちらの更新楽しみにしています！ (7月7日 1時) (レス) @page15 id: 65be4ed974 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆの（KP） | 作成日時：2023年6月26日 18時
