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「魔法の素質もないとは…。
何故ですかね。
さぁ、闇の鏡が貴方の帰るべき場所に帰らせてくれますよ。どこから来たんです？」
しばし考える。
思いつくのはしゃべる狸とか喋る狸とか。
…どこから来たんだっけ。
「思い出せません」
「…ま、まぁ、魂が覚えているはずです。
闇の鏡の前へ」
やっと帰れる。
そう思って闇の鏡を見つめるが何も起きない。
あの不気味な顔が映りすらしない。
「…あの、帰る場所探して欲しいんですけど。
ちゃんと仕事してくれません？」
起動しない鏡にイラつく。
ここ来てイラついてばっかなんだけど。
「お前とか見極めるとかしか脳がないのにダンマリは無しに決まってるだろ」
「あ、ちょ、闇の鏡を掴まないでください」
「なんて横暴な子なんだ…」
「面白そうな子ですね」
外野からごちゃごちゃ聞こえるがどうでもいい。
今はこの何も言わない鏡にイラついてる。
横でカラスがうるさい。
起動しないコイツが悪い。
とか思っていたら起動した。
「…この者の帰る場所はどこにもない。
加えて私はこの者が大嫌いなので帰る場所があったとしても送らない」
ざわついていた会場に沈黙がでた。
当たり前だ。
鏡が自分の意思をムッとした顔をしながら言ったのだから。
「……」
やばい、鏡割りそう。
「…帰る場所がない…。
ふむ、どうしましょうかね…」
「どうしましょうかね、じゃなくて帰せ。
今すぐ」
「あ！そういえば随分と使われていない建物がありました」
話聞けよこのカラス。
「さて、では行きましょうか」
にっこりした顔が妙にムカつく。
カラスは僕が黙ってついて行かないと判断したのか「空間転移魔法」というものでその建物に連れて行かれた。
「……汚…」
そこには１０人中１０人がボロいと言いそうな、いや、確実に絶対言うようなでかい建物があった。
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作者名：おきじゅ | 作成日時：2023年4月27日 17時
