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狸を連れて戻ってきて大食堂。
｢くそ、ちょろちょろしやがって！！｣
スペードくんとエースが魔法で何かを倒していた。
視力はあまり良くはないが、カサカサと動く魔の黒い物体がはっきりと視界に映し出される。
｢ひっ…｣
ゴキブリ…。
虫は苦手。
気持ち悪い。
触角とかうねうね動いてて気色悪いし、小さいから僕のすぐ近くに来るのも容易。
｢いや、ちょ！早く、早く捕まえて外に出してよ！！！｣
｢あぁー！！！アイツ、シャンデリアの方へ行ったんだゾ！！｣
羽もついてんの…？！
羽音無理嫌い。
最も魔の物体から遠い場所へと行き腰をおろす。
お前なんか食物連鎖とか殆ど関係ないんだから早く絶滅すればいいのに。
こっちに来ないかと魔の物体を見張る。
というか見たくない、見たくないけど近くに来る方がやだ、無理、
狸にくっついて食べられろ。
まぁそうなったらもう一生狸に近付かないけど。
｢ちょ、なんでマジカルペンこっちに向けてんの？！｣
一人で悶々と思考を巡らせているとエースが叫んだ。
うるさ。
叫ぶ暇あったらさっさと退治してよ。
…スペードくんがエースにマジカルペンを向けてるのか。
なにをするのかとゴキブリの事はそっちのけでにやにや様子を見ているとスペードくんが口を開いた。
｢お前を投げればいいんだ！｣
スペードくんの言葉に僕は腰をあげた。
もう虫が怖いとかそんなことどうでもよくなって。
だって…
｢エースがゴキブリを顔面で受け止めてくれるんでしょ？｣
面白くなってきたもん。
｢はっ？おま…A？！ちょ、冗談でしょ？！うわわわっ！浮かすな！｣
｢いってらっしゃーい、ていうかゴキブリついた顔面とか汚すぎるからもう近付かなくていいよ｣
｢ふっ、しっかり顔面で受け止めろよ！
よく狙って…いくぞ！！｣
｢ぎえええええええ！！！！｣
ガッシャーン！と終わりの音がする。
シャンデリアが壊れた。
お目当てのゴキブリさんはとっくのとうに力尽きていた見たいで触角がへこたれていて気持ち悪い。
それにハートの女王黒焦げ事件より重い気がする。
そう感じた。
…面倒事には巻き込まれたくないから。
一人大食堂の扉から出ようとしていたらゴツンと誰かに当たった。
｢何してるんですか！！！｣
…げ、カラス。
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※5/10訂正
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作者名：おきじゅ | 作成日時：2023年4月27日 17時
