切なさを抱きしめて…[Yuta.K]② (ページ12)

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コンサートが始まってからずっと

Aちゃんを探しているけど全く見つからない。

EXシアター、帝国劇場、プリンスホテル

今まで何回もAちゃんを見つけてきた。

でも、今回の横浜アリーナは訳が違う。

会場も大きければファンの数も多い。

もしかしたらAちゃんは来てないかもしれない。

ただ、昔ファンレターで言ってくれた

“デビューコンサートの初日は

なにがなんでも神宮寺担の子と入る”という

Aちゃんの言葉に嘘がなければ

今日は絶対にいるはずなんだ。

“自分の名義は席運悪い”と言っていたから

遠くの方まで見渡してみるけど

それでもやっぱりAちゃんは見つからない。

そんな中、迎えたファンサ曲。

俺は周りの子にファンサをしながら

ここぞとばかりにAちゃんを探していた。

･

ファンサ曲もあともう少しで終わり。

やっぱりAちゃんは来てないのかな…

そう諦めかけていた時、

廉がこちらに来て俺のイヤモニを外した。

何事がと思って耳を傾ければ

『Aちゃん、来とるで。』

そう言って俺の耳にまたイヤモニをはめ込んだ。

Aちゃんが来てくれて嬉しい反面、

自分で見つけられなかったことに対する

悔しさが一気に襲ってくる。

でも、今はそんなことを考えてる時じゃない。

そう思った俺は

廉が走ってきたであろう道を辿りながら

必死でAちゃんを探した。

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