キスしなきゃ出られない部屋 ―KP― (ページ8)

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岩橋 × 平野ページ8

岩橋side

ガチャガチャガチャガチャ。

「ちょっと、なにやってんの壊れるよ」

　紫耀が今にも引きちぎりそうな力でドアノブを回していたので、慌てて止めに入る。

「さっきから全然開かねえんだもん」

「……紫耀、見て」

　扉に貼ってある紙に気づいて指差すと、紫耀が眉間にしわを寄せた。

「キス？したら出られるの？」

「そうみたいだけど……それ以外にも方法あるでしょ」

「え、なんで？俺はできるけど」

「普通したくないでしょ……」

「まあしたいわけじゃないけど、したくないってほどでもなくない？」

　そう言いながら紫耀が俺を引き寄せる。二人の間はほぼゼロ距離。

「……じゃあすぐ済ませて！」

　逃げられそうにないので、諦めて唇を紫耀の方に向けてやった。ちょっと不機嫌顔にしてみたのに、まったく動じないどころが若干ニヤつく紫耀。

「ちょっと、しないの？」

「なんか普通に可愛いなって」

　そう言いながら紫耀が笑う。……なんか弄ばれてる気がする。

「遅い」

　思い通りにさせたくなかったので、俺の方から紫耀に唇を押し当ててやった。

　キスを終えて紫耀を見ると、目をこれでもかというほど見開いていた。

「……え？」

「すぐ済ませてって言ったのに、全然してくれないからだよ？」

　口角を上げて少しドヤってみる。

「ははっ、うちの女帝は小悪魔だなー」

　こっちが弄んでやろうと思ったのに、それどころか楽しそうに笑ってる。……俺の負けです。

「じゃあ出よっか。はい」

　開かれた扉を右手で指しながら紫耀が俺を見る。

「なに？レディーファースト？」

「おう」

　一応俺もメンズなんだけど。

　紫耀は俺を姫だと思っているみたいだけど、俺にとっては親友だからね！

―END―