キスしなきゃ出られない部屋 ―KP― (ページ5)

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神宮寺 × 永瀬ページ5

永瀬side

「いや、ええ……？」

「どした？」

　口元に手を当てて困惑してるジンに話しかけると、ジンは「これ」と言いながら扉の紙を指した。

　『この扉はキスしないと開きません』って、……いやいやいや。

　なわけあるかいと思ったけど、何度試してもドアノブは回らへん。

「はあ？なんなんこれ！」

「廉、壊れちゃうよ！落ち着こう！」

　イラついて激しくガチャガチャしてたら阻止された。あかん、冷静にならな。

　こういうときに落ち着かせてくれるジンはさすがや。

「どうする廉、助けでも呼びます？」

「呼ぶ方法があればなぁ」

　生憎今は二人ともスマホを持ってへんし、部屋の外からの人の気配もない。

「……キスする？」

　は？こいつ今なんて？

「……キスって、俺らでするってこと？」

「ほかにいないでしょ」

　ジンが「なに言ってんだ」って顔で俺を見てきた。いや、それはこっちのセリフや！

「俺らって、なんていうか……そういう感じやないやん」

　自分で言ったけど、そういう感じってどういう感じやねん。キスする感じってなに？

「でも、しなきゃ出られないよ？」

　シンプルにそれは困る。……しゃーないな。

「わかった。しよ」

　覚悟を決めて二人で向かい合うと、ジンの顔が近づいてきた。

　このまま見つめとくのもなんか恥ずかしいから目を閉じると、したかどうかわからへんような優しいキスを落とされた。

「……めちゃくちゃソフトやな」

　なんとなく自分の唇を触った。ジンの感触はほとんど残ってへん。

「強めの方がよかったですか？」

「がははっ、ちゃうわ！」

　にやりと笑ったジンを軽く小突きながら扉を開く。

　そういう感じやないんやけど、まあ、たまにはええか。

―END―